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「短歌人」2024年4月号掲載作品

08

08ゼロハチ珈琲」その店名の由来知らずまた「イチハチ」と言ひまちがへる

図書館の裏手の旧き建物の二階にありてしづかなる店

珈琲に詳しくあらずいつ来ても頼む「季節の珈琲」ひとつ

夕闇が窓に迫りてくるころをタルト・タタンにフォークを入れる

ナナハチぢやあなくて一か八かでもなくてなくて08珈琲ここは

一人でも二人で来てもいい店だ図書館通り見下ろせる窓

すこしだけ秘密をわかちあひたくて小声になつてゐるわたしたち

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