見出し画像

初心者がおどろくラグビーのポイント②監督はどこに行った!?

ポイント①はこちら

ポイント②監督はどこに行った!?

サッカーを見ていると、監督というのはたいていピッチの横で何ごとか叫んでいます。バレーボールなんかもコートギリギリに立ってタイムアウトの時には直接檄を飛ばしています。今の女子日本代表の中田久美監督なんか、コートに入っちゃうんじゃないかという勢いですよね。野球だったら選手と同じユニフォームを着てベンチからサインを出したり選手交代を伝えたりと、試合中もいろいろと忙しそうにしています。

ではラグビーはというと…。試合中はグラウンドの周りを見回しても監督の姿はまず見えません。どこにいるかというと、たいていは観客席のうしろほう、もしくはもっと上にガラス貼りの観覧席があればその中にいます。これも他のスポーツではあんまり見られない現象かも。

理由としては、ラグビーには「試合は選手のもの」という考えがあり、試合中は監督は口を出さない原則があります。どうせ何も言えないなら近くにいる必要はなく、だったらグラウンド全体が見やすい上のほうにいよう、ということのようです。試合の映像を見ても、どかっと座ってじっと試合を見つめる監督、落ち着かない様子で立ち上がってそわそわしている監督、余裕の表情でお菓子なんか食べてる監督もいます。(ちなみに日本代表のジェイミー・ジョセフはHARIBO食べてたなぁ。)

といっても最近はインカムがあるので、結局は何ごとかをピッチサイドのスタッフに伝えて、それを選手に伝えて…いうことはあるようですが、それでも、試合における戦術の選択などは原則として選手に選択権があり、なかでもキャプテンに強い権限があります。

南アフリカ戦に歴史的勝利した前回W杯のあの試合は、最後の最後、キックで同点を狙うか(わりと簡単)、トライで逆転を狙うか(かなり難しい)の選択を迫られて、当時の監督のエディ・ジョーンズはキックという指示をだしましたが、キャプテンのリーチ・マイケルの判断でトライを狙いました。さすがにその時は監督もインカムを投げつけて激怒したそうですが、トライが決まれば大喜び。もし失敗していても指示に背いたことを怒る気持ちはなかったでしょう。というかそもそも試合前には「何か決断を迫られることがあったら君が決めろ」とわざわざキャプテンに伝えていたくらいですし。

蛇足ですが、このラグビー独特の環境の煽りを食らってるな、と思うのが通訳さんです。日本代表には佐藤秀典さんというとても優秀な通訳さんがいるのですが、その南アフリカ戦で選手がトライを選択した時は、熱くなってしまった監督から「ちゃんと訳したんだろうな!」と胸ぐらを掴まれたそうです…。

ラグビーはそのルールの特性上、試合中も勝敗を左右する判断を迫られるシーンが何回もあるのですが、にも関わらず選手に任せるためには、日頃から自主性をもっておく必要がありますし、キャプテンの人格や判断力、チーム内のコミュニケーションも重要になります。ラグビー経験者は社会にでても活躍する、といわれる所以でもあるのではないでしょうか。

(③に続く)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?