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くまモンに学ぶ仕事の流儀(11)ストーリー=起承転結をのせる

第3章 快進撃
その3   ストーリーの話をもうひとつ

鮮やかに着地を決めたとご紹介した2013年の
『赤いけん!ウマいけん!くまもと』キャンペーンですが、
翌2014年の仕掛けも負けずに見事だったのでご紹介します。

この時は、「赤い食べ物」は健康にいい、という点を訴求するためにメタボ疑惑のあるくまモンのダイエット企画が行われました。
タニタ食堂とコラボして「くまもとの赤フェア」を実施したり
Adidasに特注ジャージをつくってもらったり
雑誌「Tarzan」の表紙になったり
日本コロムビアからエクササイズDVDを発売したり…と精力的にPR。

とはいえ、くまモンがダイエットというのは無理な話です。
(まぁ着ぐるみですから。)

どうオチをつけるのかと見守っていたら、数ヶ月後
「くまモンはダイエットに失敗し降格。営業部長から営業部長代理に」と発表。
「バレンタインにもらったチョコレートをひとりで全部食べていたから」
と誰にも傷つけない形で終了させたのです。


ちなみに、同時にダイエットを始めた県知事は見事にダイエットに成功
というのも話題を呼びました。
そして話題が落ち着いた3ヶ月後、
これまでの頑張りに免じて、ということで営業部長に復帰しています。

振り返ってみると
・くまもとの赤キャンペーン
・ダイエットに失敗、降格に
・営業部長に復帰
と、1年間に3回の大きなトピックを提供したわけです。
その都度、「熊本の赤い食材を…」と経緯が語られるわけで
トータルでの宣伝効果は絶大です。

実際に、牛肉の「赤牛」などは、昨今のヘルシーな肉を好む流れとも相まって全国のレストランやホテルでも人気食材となりました。
加えて、スーパーに行けばくまモンのイラストが描かれたトマトやスイカが
売られているわけで、ついつい手にとってしまった人もいるのではないでしょうか。

▶︎本日のポイント
前回も書きましたが、くまモンの仕掛けにはストーリーがあります。
ここでいう「ストーリー」とは、前回書いたのは
単に商品やイベントを紹介するだけでなく、
「くまモンが直談判した」とか「くまモンが食べ過ぎた」など
物語性や温度感を持たせる、という点でのストーリーです。
ただの情報ではなく、登場人物がいて動いている、というイメージ。
今回も「くまモンがダイエットをする」点で同じように物語性をもたせています。

加えて、ストーリーにはもうひとつ「起承転結がある」という側面もあります。
前回は「くまモンが食べ過ぎて、ほっぺを落とした」
そして「探してくれたお礼をしに行く」というところまで流れをつくりました。
今回も「くまモンがダイエットを決意していろいろチャレンジをする、でも失敗、
営業部長を降格になる」という一連の流れがあります。

正直なところ、
一連の『赤いけん!ウマいけん!くまもと』キャンペーンは
プロの仕業というか、大手広告代理店のアイディアのようなのですが、
複数の広告賞を受賞したりと業界内でも話題になるようないい事例です。
また、プロに任せたからといって同じようなことが実現できるわけではなく
これらの企画を許容する姿勢、知事自ら当事者となる姿勢などは
組織を率いる人にとっても参考になる事例だと思います。

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