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失敗しか許しません

ギターソロの途中から入るタンツクツクトンを
私は毎度失敗する。

一人で叩くとなんとかできるのに
みんなで合わせるとなると、途端に緊張するのだ。

更に「じゃあ録音してみよう」、ということになり
ますます緊張するー!と私はジタバタした。

するとギターの男の子がこう言ってくれたのだ。
「失敗しか許しませんから」


娘の音楽仲間に混ぜてもらった私の
”バンドメンバー”という新しい体験の二日目だ。

「失敗しても気にしないで」と慰められると
面目ない気持ちになるものだが、
「失敗しか許さない」と言われたら
「それなら自信あるよ!」という気持ちになって
失敗したって笑って胸を張れるものだ。
なんという温かい神の声なんだ。

まだドラムスティックを握って3ヶ月。
下手くそに決まっている私は
よく、間違える。

でも楽しければそれでいい、
言葉だけでなく本当にそういう雰囲気の彼らと演奏する時間は
音楽の楽しさに浸ってあっという間に過ぎていった。




ドラムを習い始めて3ヶ月。
『55才の手習い』で思い切って初めてみたら
これが想像していたより更に100倍面白い。

スタジオで先生から習うのは月に2回。
リズムとスティック回しの感覚を身につけるには
日々少しづつ練習したいところだけれど
もちろん家にはドラムはない。

マイドラムは、
40センチ四方のチェストの天辺にドラム配置みたいに並べた
雑誌やら分厚い本やらだ。
それを毎日タカタカ叩いて練習している。


そうして少し叩けるようになった頃に
くだんのバンドメンバーに混ぜてもらうことになったのだ。

ギターの音色、ピアノのメロディー、ボーカルの歌声、
それらを聴きながら自分の演奏もするのだから
バンドの人ってすごいことをやってるんだなと
今更ながら改めて感動している。


難しいけれど、みんなで演奏するのはもの凄く楽しい。
調和。4分とか5分の間、みんなで調和するために集中している感覚が私には新しくて、わくわくする。
「失敗しか許さない」人たちだから尚のこと、
本当に失敗などクヨクヨせずに楽しんでいればいい。
それにみんなで楽しく演奏するからこそ、
もっと自分も上手になりたい!と
自然に気持ちも盛り上がってくるものだ。


タンツクツクトンに緊張しなくなる日もいつかやってくるはず。
録音を聴きながら雑誌をタカタカ叩いて練習しよう。

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