ホラーなのだけど単に怖いだけでなく、ミステリーっぽかったり人間ドラマを描いていたり、けっこう面白い映画だった。

私は怖いものがそんなに好きじゃないので、ホラー映画もほとんど見た事がない。この映画は日本のホラーに影響を受けていて、確かにそういうテイストだと言われているが、日本のホラーも海外のホラーもほとんど見た事がないので全くわからない程だ。

こんなに現実っぽい話なのに、わりと始めの方に明らかに人間ではないものが出てくるものなんだなと、ファンタジーみたいに非現実なものがはっきり描かれるんだなと驚いた。よくわからないけど、ギリギリまで現実なのかもしれないと思わせる描写がセオリーなのだと思っていたから。
でも、見ている立場では明らかに非現実的なものの存在を知っていて、登場人物が現実のものに当てはめようとしているという構図に、なるほどと思った。

小さな姉妹がママと呼ぶ、非現実的なものの謎を解き明かす物語、とでも言うべきだろうか。このママと呼ばれる何か、幽霊なのだろうか？幽霊と呼ぶのが適切なのかわからない。実体はあって人間に危害を加えたりするが、壁もすり抜ける。カメラには映るのだろうか？襲われた人間はどうなったのだろう？なかなかアクティブで、身勝手で、でも事情もわかるなぁと同情できる部分もある。
姉妹たちの周りの大人たちも、それぞれの事情も理解できるし、立場上そういう身勝手に思えるような事をするのもわかるなと理解できる。そんな危険そうな所に一人で夜に行くなよ！と突っ込みたくなるのは、ホラーあるあるなのかもしれないが。
姉妹たちの叔父の恋人という全く関係のない女性が、行きがかり上仕方なく姉妹の面倒を見ることになるのだけど、その女性の自然体な感じは共感できる。大変な事に巻き込まれてしまったと感じながらも、恋人への情から姉妹と生活を共にし、献身的ではないものの一人と大人として姉妹のために行動できる。その自然さが人間らしいというか、少しずつ姉妹と関係を築いていく感じがリアルだなと思った。
ハッピーエンドではないけど、バッドエンドという感じもしない、複雑なエンディングも良い意味で後を引く。

主役の姉妹たちは何歳ぐらいなのだろう？それが演技である事を忘れるくらい、小さな子どもたちの演技力は素晴らしかった。

『Mama』　2.5