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【映画レビュー】トーマス・クラウン・アフェアー

最近当たりの映画を引きすぎている感覚があるのに、その中でもこの映画はかなり良かった。良質なサスペンスと良質なラブロマンスを融合した、めちゃくちゃ質の高い映画だ。

個人的には、この映画を他人に薦めるなら、ラブロマンスとしてお薦めしたい。理由としては、まずサスペンスとして語ろうとするとネタバレが避けられない。何も事前知識がない状態で見てほしいので、面白いサスペンス映画ではあるが、それ以上の事を説明しづらい。ちなみに、サスペンスと言っても人は死なない。泥棒の話である(これくらいは言ってもいいだろう)。
それと、サスペンスを期待して見ていたのに、恋愛を始めてガッカリしたというレビューがいくつかあったのも理由だ。ラブロマンスを楽しめない人はこの映画を楽しめない。サスペンスだと思って見るとラブロマンスを邪魔に感じてしまう人もいるらしいので、最初からラブロマンスだと思って見た方がいい。

この映画では、スマートな大人同士の成金な恋愛を楽しめる。若い男女の弾けるような肉体美ではないが、堂々と素肌を晒す二人はカッコいい。金持ちらしい遊びで二人ではしゃぎ回ったり、そうかと思えば相手を騙したりもする。二人は反目し合う関係ではあるが、常にいがみ合っているような安っぽい関係ではない。互いの腹を探り合うのもスマートで、相手をいなすのも上手い。二人が自分の立場を守ろうと立ち回っているのか、恋に溺れいているのか、読めない感じがめちゃくちゃ面白い。犯罪捜査の読み合いやだまし合いをしていた流れそのままに、恋愛の読み合いだまし合いが行われて、サスペンスとラブロマンスの混ぜ合わせ方がすごく上手いのだ。

ちょっとだけ触れておくと、この映画はサスペンスも上手い。すべて情報を晒した上で騙すのが上手いなと思った。下手なサスペンスは、見ている者を騙そうとして情報を出さないというズルい事をする。
こんな事を言うと、最後にひとつ謎が残ったと反論されそうだけど、あれは説明すると冗長になってしまうので説明しないくてもいいかなと個人的には思う。具体的な手口を説明されなくても、それができるだけの腕利きだと映画の中で十分に示されているから。

でも、サスペンス目線でみると、あんな大きな謎を残して終わるなんて許せないと思うんだろうな。だからやっぱり、この映画はラブロマンスとして見る方が楽しめると思うので、ラブロマンスとして薦めたいと思う。

『トーマス・クラウン・アフェアー』 4.5

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