雑誌に付録をつけるのが面倒すぎる件

「明日いよいよお喋りピカチュウだよ」

雑誌『小学一年生』4月号から某猫型ロボットが更迭され、黄色い電気ネズミに代わって2回目の春。今年も喋るピカチュウが付録だ。(見本を触ってみたらなかなかにドスの効いた声でびっくりした。わたしの知ってるピカチュウと違う)

返品のため、翌日最新号が出る雑誌をひたすら回収して回る先輩がぼやいている。とんでもない量の女性誌がブックトラックに積み上げられ、溢れた分は台車にそのまま載せられている。わたしは超速でレジをやりつつ合間に付録を外してサポート。劣化したゴムが何本か千切れて飛んだ。

「小学一年生と女性誌の同日発売はキツイねえ」「女性誌の付録の量にもよるけど、ラインナップ的に地獄が確定してる」「明日入ってる?」「入ってる。お腹が痛くなる予定なので休んでいいですか」

先日の関東の大雪で入荷が1日飛び、2日分が纏めて届いた日があった。その時よりも入荷数が多い。そして早番はふたり。
「明日も早く来ないと開店に間に合わない自信がある」「雑誌の付録つけるためにサービス早出って酷い話だよね」「書店員になって2番目に嫌いな仕事なんですよ」「1番は?」「毎月のレポート」

朝、9時出勤のところを1時間早く出勤。3台のカゴ台車に雑誌の束と書籍の箱が山盛りになっている。積み上げるのはいいけどわたしの身長ぐらいまでにしてほしい。あまり高く積むとエレベーターに乗れないし、店までの移動中に雑誌の束が落ちる。(わたしの身長は1兵長=160cm)
とりあえず往復して雑誌が載っている2台を運び、店の周りに張り巡らされた網を回収してレジを開け、業務連絡ノートに目を通して開梱を始める。作業台なんてものは存在しないので、すべて床の上である。腰に爆弾を抱えているのでとても辛い作業だ。
少ししたらもうひとりの早番スタッフが出勤してきてくれた。普段よりかなり早い。有り難し。

一緒に雑誌を開けて付録をつけながら、口から出るのは呪詛ばかり。
「同じ雑誌で通常盤と増刊とスペシャル版と表紙違い版とかいろいろ出すのを法律で禁じてほしいよね」「ペラい冊子の付録も綴じ込みを義務付けるべき」「そもそも付録を2箱に分けるとか意味わからん」「もうさ、ブランドムックみたいに箱と合体させてほしい。付録つけるのにどれだけ手間がかかるか出版社には体験してもらう必要がある」「やばいあと20分しかないどうする残り燃やす?燃やしちゃう?」

滑り込みで開店には間に合った。その後はいつもどおりの問い合わせラッシュ。検索機はあるけれど年齢層が高いからか利用率は低い。なぜか電話も鳴りまくっているが無視を決め込む。ふたりしかいないので出たら詰む。そして小学一年生のプレゼント包装ラッシュ。年金の支給日だから、お孫さんに贈るのであろうお爺ちゃんお婆ちゃんがいっぱい。もうやめて、私のライフはゼロよ。


喋るピカチュウの付いた小学一年生、去年は店頭在庫が消える頃にTVでじゃんじゃかCMが流れて酷い目にあった。
今ならまだ店頭在庫あります。お早めに近くの書店へどうぞ。
(Amazon売り切れてますね、びっくりした)


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