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海外学会に11ヶ月のベビ連れで参加してきた。

アメリカのフロリダ州オーランドで開催された学会に参加し、研究発表をしてきました。私自身初の海外学会、英語で発表、そしてベビ連れということで、行く前から不安しかありませんでしたが、何とか無事発表を終えて帰国することができました。もちろん学術分野や学会の雰囲気により前提が異なることは承知の上ですが、これからベビ連れで海外学会参加される方にご参考になればと思い、経緯や気づきをまとめてみます。

ベビ連れ参加の経緯

「こんな学会があるよ、発表応募してみたら?」とお世話になっている先生に教えていただいたのが2023年5月。応募締め切りは2023年6月。その時点で、第一子が2歳9ヶ月、第二子が6ヶ月でした。学会に参加するとしても、子ども達はどうするのか…?考え始めると、心配事やクリアしなければいけない課題が山積みで、とても応募なんてできません。もちろん、応募してもアクセプトされない可能性もあるため、ダメ元で応募してみる事に。応募段階では子ども達の事はあまり深く考えず、アクセプトされてから考えることにしました。こうして、あまり深く考えないまま、まずは応募書類を作成し、投稿したのでした。

「連絡ないけどもうリジェクトされたのはは…?」と思い始めた2023年9月上旬、なんとアクセプトの連絡が来ました。海外学会発表に浮かれる間もなく、「さて子どもはどうする?」を考え始めました。私の場合、前提として以下の条件がありました。

  • 発表予定の研究が私と旦那様ともう一名の共同研究で、今回は私と旦那様が学会に参加する

  • 学会開催時点で11ヶ月の第二子はまだ断乳していない

  • 学会中に旦那様と2人でケアできるのは子1人が限界。そして3歳の第一子はヤンチャ盛りのため、連れて行ったら学会どころではない。

  • 学会開催時点で3歳の第一子は飛行機のシート代が発生、11ヶ月は抱っこでシート代不要

というわけで、共同研究者である旦那様とも相談し、3歳の第一子を祖父母宅に預け、11ヶ月の第二子を連れて行く事に決めました。
ちなみに、3歳の第一子は初めてパパママと離れて1週間祖父母宅に滞在ということで、こちらもnoteをひとつ書けるほど入念な準備があったのですが、このnoteでは11ヶ月の第二子を連れた海外学会参加に紙幅(?)を裂きたいと思います。

学会参加までの準備

「ベビを連れて行く」と決めたものの、学会受付で門前払いされては意味がありません。そこで、学会事務局に「11ヶ月のベビを連れて行くが問題ないか」と問い合わせました。すると早速返事が。

学会ご登録いただきありがとうございます。
ご主人とご一緒に赤ちゃんをお連れになるとのことですが、学会の保険はお子様には適用されません。お子様をご同伴される場合は、添付のフォーム(自己責任において連れて行く旨の署名)にご記入いただく必要があります。ご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお知らせください。それでは、ご家族の皆様のご参加を心よりお待ちしております。

悩ましいことに、メールには連れて行って良いとも悪いとも書いていません。ですが、「自己責任において連れてくる分には問題ない」という返事であろうと解釈し、連れて行く方向で調整を始めました。この辺りは学術分野や学会によって状況が全く異なると思いますので、ベビ連れ参加を予定している方は事務局に問い合わせをされることをお勧めします。

ここから渡航まで、パスポートの申請、保険申請、(米国入国のための)ESTA申請など、申請業務が盛りだくさんですが、この辺りは他にも詳しいnoteやブログがあるのでそちらをご参照ください。

いざベビ連れで学会へ

諸々準備も終えていざ学会へ。「ベビ連れなんて困る!と言われたらどうしよう…」という一抹の不安を抱えながら学会受付へ。名前を伝えると、メールでやり取りしていた担当者の方が「あ!あなたメールでベビ連れてくると行っていた人ね!」と気づいてくれて、そのまま問題なく受付終了。特に何も言われることもなく、ベビーカーを押しながら学会会場に入ることができました。ちょっと拍子抜けしましたが、こうしてベビ連れ学会がスタートしました。

学会では口頭発表をする予定がありましたが、それ以外の時間は基調講演、パネルディスカッション、他の方の口頭発表、ポスター発表など、プログラムが盛りだくさんです。そこで、どうしても参加したいプログラムを旦那様とお互いに話し合い、交代でベビのお世話をする事にしました。幸い、暖かいフロリダだったので、空き時間は外の広いスペースで、ベビのお世話や、掴まり立ちの練習をして過ごしました。
また、学会期間中は研究者同士の交流を目的として朝食やランチが提供されることもありますが、ベビのご飯は時間をずらしてゆっくり食べさせて、大人は学会の朝食やランチにも参加する事ができました。

そしていよいよ自分たちの口頭発表の時間。この時ばかりはどうしようもないので、旦那様と交互にベビを抱っこして口頭発表を行いました。幸い参加者の皆様も暖かく見守ってくださり、何とか無事発表を終え、有益なコメントも頂くことができました。

ベビがいても「普通」

学会全体を通して、ベビが参加している事に対して、信じられない皆様が暖かく見守ってくださいました。もちろんアメリカの方が赤ちゃんに優しい文化だということや、参加した学会とその属する学術分野の特性も理由としてあると思います。それでも、日本で同じことをしたときの周囲の反応を考えると、全く違ったものになっていただろうと思います。

それというのも、ベビ連れで学会に参加したことを日本人の知人に話すと「ベビ連れ海外学会なんて、新しくて最先端のことをしているね!すごい!」という反応だったのです。しかし、私が参加した学会で、世界中の研究者の皆さんと接した印象は少し違いました。一言で表すなら、「赤ちゃんがいても普通」という感じ。個人の責任において他の人の迷惑にならない範囲でベビを連れて学会に参加する事は「普通」という印象を受けました。誰も嫌な顔はせず、過剰に褒めたりもせず、とにかく普通に、優しく暖かく接してくださるのです。この「普通」な感じに、不安と後ろめたさを抱えながら学会に参加した私は心から救われた思いでした。

上には上が、下には下が

そしてベビ連れ学会が「普通」なことを表すもう一つのエピソードが。何と学会会場にはもう1人ベビがいたのです。しかも2ヶ月!まだふにゃふにゃの新生児ちゃんも、学会に参加していました。2ヶ月と並ぶと、11ヶ月の我がベビが随分大きな子どもに見えます。(月齢として)下には下がいる、という事でとても驚きました。

2ヶ月のベビを連れてきていたのはアメリカの女性研究者の方で、パートナーの方も発表無しでベビのお世話として同行していました。2ヶ月という事は、妊娠中に学会に応募したはずなので、うじうじ悩み不安に押しつぶされそうだった自分と比べて、前向きなエネルギーがかっこいいなと感服しました。

加えて、5歳くらいの子どもも女性研究者と一緒に参加していました。5歳ともなると落ち着いたもので、基調講演や口頭発表中も大人しく塗り絵をしていて、堂に入ったものでした。(年齢的に)上には上がいたということです。一つの学会会場にベビや子どもが3人もいると、もうそれは特別な事ではない、だからこそ「普通」なんだなと感じました。

持って行くべき物品ベスト3

最後にお役立ちコンテンツを。初の海外学会参加で右も左も分からない状況でしたが、持参して良かった!または持参すれば良かった!と思ったものについてまとめてみます。ちなみに、ベビ連れ飛行機旅については知人のブログが月例別に超詳しく紹介してくれているので、こちらもご参照ください。

3位:小綺麗な服とパーティーバック

いきなりベビではなく自分の用品になるのですが、実は学会2日目終了後に、参加者が宿泊するホテルでカンファレンスディナーというイベントがありました。私は普通にビジネスカジュアル+パソコンが入るデカバックで参加したのですが、意外にも世界各地から参加している研究者は男性も女性もパーティー仕様に着替えて参加している方が多く驚きました。ホテルの会場という事で、着替える時間があった事も理由だと思います。男性はジャケット変えたりチーフを追加したり。女性は完全に着替えてパーティー仕様のワンピースに小さいおしゃれバックに。もちろん学術分野や学会によって異なりますが、ディナーやパーティがある場合は、一応小綺麗な服と、決してパソコンが入らないサイズのパーティーバックを持参した方が良いなと思いました。

2位:日数分+αのベビーフード、服、オムツ

学会参加期間中は当然ですが余分な時間はないため、現地で使用するものは全て持参が原則です。服も洗濯できないことを前提に日数分+α、オムツやベビーフードも余裕を持って持参しました。
そんな中でも、在庫ギリギリだったのがベビーフードです。今回は日系の航空会社で、機内食としてベビーフード提供予定だったので、飛行機内のベビーフード分は多少減らして数を計算して荷物に詰めました。しかし、この機内食ベビーフードが我がベビの口に合わなかったようで、見事に食べてくれませんでした。日本から持参したベビーフードを機内持ち込みしていたので、それを食べさせて難を凌ぎましたが、長い搭乗時間で予定より多くのベビーフードを消費してしまいました。

ちなみに味見したママの感想としてはとても美味しかったです。

また、アメリカ滞在中も時差の関係で機嫌が悪く、「開けたのに食べない」という状況が何度も発生しました。余裕を持って持参したはずのベビーフードでしたが、最終的に在庫ゼロのギリギリで帰国となりました。レトルトパウチなら嵩張らないので、念には念を入れてたくさん持って行ったほうがよいと感じました。

1位:折りたたんで機内持ち込みできるベビーカー

他の二つを差し置いて、ぶっちぎり持って行って良かったもの第1位がこれ。アメリカへのベビ連れ旅行に慣れている友人に相談し「絶対に持っていたほうが良い!」とのアドバイスに従い、学会参加にあたりベビーカーを新しく買い替えました。まだ現役で使えるベビーカーが自宅にあったので、新調するか悩みに悩みましたが、買って大正解でした。我が家で使っているのはサイベックスのリベロという、機内持ち込みサイズまで小さくなるベビーカーです。

https://www.instagram.com/cybex_japan/

航空会社や機材の大きさによって異なる場合もありますが、基本的に畳めるベビーカーは搭乗直前まで乗せて行くことができます。搭乗前に「手荷預け」として預けて、到着後すぐに返却してもらい、またすぐに子供を乗せることができます。さらに、このリベルのサイズまで小さくなると、自分で手荷物として機内に持ち込み、頭上の荷物入れに収納することが可能です。
この「乗る直前/降りた直後」にベビーカーに子どもを乗せられる恩恵は半端ないです。日本国内であれば空港のベビーカーを借りることもできますが、海外だとそうはいきません。搭乗までの待ち時間、トランジットの長い道のり、そして入国審査の長蛇の列・・・この間ベビを抱っこしていたのでは、学会参加する前に腰が死んでしまいます。ただでも長い機内ずっと膝に乗せておく必要があり疲弊するので、移動中はなるべくベビーカーに乗せるが鉄則です。小さく折りたためるベビーカーは、ベビ連れ海外旅行の必須アイテムと言えます。

という事で、出発前は不安と心配でいっぱいだったベビ連れ海外学会ですが、なんとか無事参加し、発表を終える事ができました。肝心の発表内容は課題ばかりで反省しきりですが、挑戦出来たことが何よりの財産となりました。最後に、体調を崩す事もなく同行してくれた11ヶ月の第二子と、祖父母宅で元気にお留守番をしてくれた3歳の第一子、そして海外学会への参加を前向きに考えて一緒に課題をクリアしてくれた旦那様には、心から感謝を伝えたいと思います。

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