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毒にも薬にも

前の投稿からほどなくして、病院に行った。

採血と簡易血液検査とがん検診をしたあとで、やはりヘモグロビン値が低すぎるので鉄分の点滴を打ちましょう、ということになった。

ところが、生来私の血管が細い(採血の時に毎回言われる)のと、この度の薬の粘度が高い(と看護師さんが途中で言っていた)のとで、なかなか血管を確保できない。

看護師さんは入れ替わり立ち替わりやってきた。
7〜8回目くらい刺して駄目だったところで、一旦看護師さんが全員居なくなった瞬間、突然手の先が痺れてきて一気に息苦しくなった。

小一時間の緊張で自律神経が変になったんだろうか?
ベッドで横になっていたので、とっさに膝を立て、枕を頭の下から渾身の力で抜き取って血流が脳に行き渡るようにしてから、マスクをずらして意識して深呼吸する。
ナースコールは壁からぶら下がっている…、せやけどこんなん押すのん大げさ過ぎんか?、と躊躇い、まだ点滴は開始出来てへん言うてすぐ戻ってきはるやろ、それまでに吐いたらその瞬間ためらわずナースコールもろとも壁をバーンと叩いたらええかぁ(究極すぎる)、とデッドラインを定めた時、看護師さんが戻ってきた。

「すみません、マスク外してます。突然呼吸が苦しくなってしまって…」と私。(危機が去ると一気に猫をかぶる)

「あらら…大丈夫ですか」と看護師さん。
そのうちに息苦しさも痺れも収まってきた。

なんなん。過敏なんか丈夫なんかどっちやねん私!

結局その日、その後どうしても譲れない予定(学校の懇談)があったので、点滴を翌日に予約して帰ることにした。
お会計を済ませ、車で若干急いでの帰宅。
朝に炊いておいたごはんで、ささっと2つ梅干しおにぎりを作る。

もう14時も近い、よし、食べようとマスクを外したら…

唇が腫れている。
そういえば、目も開けづらいかも。

ゾッとして立って洗面所で鏡を覗くと、顔全体が子供の頃に数時間号泣したときのように腫れ上がっていた。

あの息苦しさは、もしやアナフィラキシー…?!

とにかくめちゃくちゃ腹ペコだったのでおにぎりを食べて、ちょっと落ち着いてお茶を飲んでいたら、腫れてはいるもののそれ以上ひどくなる気配はなかった。
ご飯も美味しかったし。

またマスクもするし、普段あまり会わない人からしたら、こういう腫れぼったい顔の人間なんだと思われる程度ではあったので、一応証拠のためいつもよりひどい自分の顔を不本意ながらスマホで数枚自撮りしてから、次の予定場所へ行った。

用事をすべて終わらせてから、アナフィラキシーって下手すると死ぬとかいうやつだよな…と思い返して、“点滴の針が刺さらなくて良かった!予定が立て込んでいて良かった!”とありとあらゆる巡り合わせに感謝した。

その後も諸々あった(病院への苦情を書きたいわけではないので割愛する)が、とりあえず点滴はとりやめになった。

かわりに小児用の鉄分シロップが処方された。

検査の結果のことがあるので、病院はそのまま通っている(結果はひとまず様子見で、今すぐ命の危機が迫るわけじゃなくホッとした)が、担当医はこっそり変えた。

もし今後手術を受けるなどとなったら、点滴の針を刺すのが上手そうな大きめの病院へ紹介状を書いてもらうつもりだ。