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はざまを揺れる

先日図書館で借りてきた本を読み始めたところ
「あれ、これ知ってる」となりました。

内容はこんな↓

他人の子を見て犬のが可愛いと感じる主人公
卵巣の病気を患い性交に積極的になれない
その恋人はお金を払って学生時代の同級生だった女性を抱く
結果妊娠
その彼女は言う

「子ども、もらってくれませんか?」

目の前で起こる異常事態を冷静に見つめる主人公
周りにわかるような反応は控え目
だけど拒絶と引き寄せをくり返す思考自体の声はとても明瞭でストレート

 「子供がほしいのと、子供のいる人生がほしいのは同じことだと思う?」

 「子どもを持ったら、世界はわたしに優しくなるかしら」

 「よく考えてから選べというけど、
  考え抜いた後で選びたい方が残っているとは限らない」

主人公が打ち上げてくる質問にハッとさせられました。
行き着く考えにギュッと何かを掴まれる・・・。

妊娠・出産には人それぞれの向き合い方と環境があリます。
気持ちと体、それらが一致する場合/しない場合
時々一致する、などの微妙な場合だってあることでしょう。
しかも一人で可能なものではない。

不思議な三角関係が始まり、その行動も不思議
でも心と思考の間で揺れるその「ゆれ」は、なんかわかるのです。

無茶な設定の奥から伝わってくるのは
主人公「薫」の「無条件に愛したい」という声
形を成さない「薫」の確かな思いが懸命に絞り出したもの
それがこのタイトルなのだと感じました。

二度読んで、ようやくここに辿り着けた気がします。
一度目はあまりのインパクトに言葉が出てこなかったんでした。

自分の中でようやく完結できた感じがしました。
次は「もう一度読みたい」という確かな気持ちで手にするのだ思います。

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