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デザインとエンジニアリングの狭間で

こんにちは。
久しぶりに技術以外のことを話そうと思います。


1.自分自身のキャリア

私のキャリアについて少し話しますと、Webデザイナーとしてスタートし、UI/UXデザイナーを経てWebエンジニアに進んできました。
「デザインエンジニア」という存在について考えてみたいと思いますが、現在の私はエンジニア領域を基盤にしつつも、デザイナーとしての経験を活かして仕事に取り組んでいます。

2.デザインエンジニアとは?

こちらのtakram 田川さんの記事が有名だと思いますが、

デザインエンジニアとは、エンジニアとしてもデザイナーとしてもきちんとアウトプットができる人のことです。
例えばソフトウェアのデザインエンジニアだったら、ソースコードも当然書けるし、UIデザインも普通にやる。
Photoshopも使うし、開発環境でプログラムも書く。
そのアウトプットの力が両方揃っているのがデザインエンジニアです。

takram 田川欣哉に学ぶ、《デザインエンジニア》の仕事と思想。[前編]

ということを定義としているようです。

それに何か問題にぶつかった時、それがデザインで解くべき問題なのか、エンジニアリングで解くべき問題なのかを見極められるかどうかの差も大きいと思います。
自分で手を動かして、デザインとエンジニアリング両方のことをよく知っている人の判断はとても正確なんです。

takram 田川欣哉に学ぶ、《デザインエンジニア》の仕事と思想。[前編]

「開発もできる人間が、Photoshopを扱えてUIも作れる」というのは、あくまで副次的なメリットだと考えています。

大きな利点は、解決すべき問題に対してどのようなアプローチが必要かを高い精度で判断できることです。
この点について、日々の仕事を通じて多くの実感を抱いています。

3.組織としてのデザインとエンジニアリング

デザインエンジニアの役割については、よく理解できました。
では、デザインとエンジニアリングの関係について、組織としてどのような状況が考えられるでしょうか?

デザインを得意とする組織やエンジニアリングを得意とする組織、双方が存在しています。
このような組織では、片方の力が強くなることもありますし、デザインとエンジニアリングのバランスが崩れることもあります(逆に言えば、それぞれの強みや良い面でもあります)。
私はこれまで、デザインとエンジニアリングのバランスが取れていない組織が多く存在することを目の当たりにしてきました。

デザインとエンジニアリングのバランスが悪く、各領域を横断できない組織では、開発においてコストパフォーマンスが悪くなったり、根本的な課題解決へのアプローチが不十分になることが多いです。

どちらか一方に偏りすぎた組織では、「誰も求めていないプロダクトや機能」を作ってしまうことがよくあります。

以下に挙げるのは、有名な例で「顧客が本当に必要としていたもの」です。

出典: http://www.projectcartoon.com/cartoon/1111

もちろん、どちらもサービスにとって非常に重要な要素です。

ただし、それがユーザーにとって意味のあるものだったのか、意味のないものだったのかを検証することが重要です。
多くのサービスでは、開発やクリエイティブな作業に無駄な時間を費やしてしまうことがあります。
ほとんどの答えは間違っており、一度で正解にたどり着くことは困難です。そのため、デザインとエンジニアリングを横断し、素早くプロトタイプを作成して検証することが必要です。

ただし、リソースは限られています。

確かに「スピードと効率」は重要ですが、上流の関係者は施策の精度を高める必要があります。
検証とは言え、作業者のリソースを無駄にすることは避けなければなりません。
目の前の課題を解決するためには、最適なアプローチは何かをしっかりと的確に判断する必要があります。
それがデザインなのか、エンジニアリングなのか、それとも別のアプローチなのかを把握することが重要です。

手を動かす前に、まずは現在の顧客理解を最優先すべきです。
顧客が感じている価値と、あなたが想像する価値との間には必ずズレが生じます。
また、設定しているジャーニーと現在の顧客との間にギャップがないかを把握する必要があります。
解像度が高くなるほど、より正確な施策を立てることができます。
現在の仕事をより意義のあるものにすることができるでしょう。

4.デザインエンジニアが必要な理由

デザインもエンジニアリングも、両方の仕事において大部分を占めるのは設計です。
デザインのみを行えるデザイナーや、エンジニアリングのみを行えるエンジニアとは異なる視点で問題にアプローチすることができるのは、両方の領域を行き来できる人間だからです。
先ほどのように、小さなスタートから始めて検証することは、ビジネスにおいて非常に重要です。
デザインエンジニアは、ビジネスの課題に対して仮説検証を迅速に行うことができる人材と言えます。
現代の複雑な状況や絡み合った課題解決には、片方からの狭義の視点では本質を捉えることができません。

5.キャリアとしてのデザインエンジニア

専門のデザイナーやエンジニアが存在する場合、「中途半端」と言われることも多いポジションだと感じています。

確かに、その道に特化したスペシャリストとしての価値は非常に高いものがありますが、時代は既に変わりつつあると思います。
現在の仕事のアプローチ方法は変化しており、横断的なスキルを持つ人々が活躍できる世界が近づいていると感じています。
過去に何度も「デザインとエンジニアリングのどちらにキャリアを進めたいのか?」と言われたことがありますが、なぜ一方に絞らなければならないのかという思いから、これまでのキャリアを築いてきました。

デザインとエンジニアリングの両方にアプローチできる人はまだまだ少ないですが、追求する価値は十分にあると考えています。
デザインエンジニアの思考は、ある意味で経営と似ています。

どの課題に対して、どのような方法で取り組み、どれほどのリソースを投入するか?

という判断を経営層と同じ視点で戦略的に考えることができるデザインエンジニアは、価値を高めていく存在だと私は信じていますし、実現可能だとも考えています。

それでは。

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