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湯梨浜の活版印刷工房でノートを作る - 月夜繪葉書店&すろうぷれす訪問

こんにちは、協力隊の遠藤です。

湯梨浜町には、「さくら工芸品工房」という文化施設があります。ここは元々小学校だったのですが、教室だった場所を利用して、今はカフェやミニシアターやドライフラワーのお店などが入っています。

湯梨浜町のクリエイティブが凝縮したようなこの場所に、昨年月夜繪葉書店つきよえはがきてんという、絵画アトリエと活版印刷工房が一緒になったお店が新たにオープンしました。

この記事は、月夜繪葉書店で活版印刷を担当されている「すろうぷれす」の國本さんに教わりながら、人生初の活版印刷体験をしてきたの記です。

活版印刷とは・・・
活字を組み込み並べた組版を用意し、それに塗料を塗り紙へ転写し印刷すること。ヨーロッパでは15世紀に、ドイツ出身のグーテンベルクが実用化した。日本では20世紀後半まで木版印刷とともに、印刷の世界で主流であった印刷技法。

今回工房で体験したのは、オリジナルノートを作ろうの回です。

まずは活版印刷したいノートを選んでいきます。このノート、遠目で見ると何の変哲もないように見えますが、ただのノートじゃないんです。糸とじの手製本で、1冊ずつ糸の色がちがいます。かわいい(直球)

次はノートの顔になる動物の活版と、どんな言葉を印刷したいかを8文字で考えます。何にしようか悩みすぎて、日が暮れそうになりました。

木の箱に入っている活字を自分の手でひとつずつ取っていきます。この作業を活版印刷用語では「文選」というそう。

活字を選び終えたら、今度は「植字」という工程に映ります。活字を版に組むので、「組版」ともいうらしい。文字の上下に気を配りながら慎重に。
今回は8文字と少ないので、大変ではなく楽しいばかりなのですが、これが本1冊丸々活字を組まないといけないと考えると気が遠くなる作業です。

活字を組み終えたら、印刷機に組版と印刷するノートをセットしていきます。プロ(國本さん)の丁寧なレクチャーを受けつつ、まずは印刷機の構造を頭で理解します。
今回一緒に活版体験をしたのは協力隊の太田さん(左)です。やや緊張気味に見えますが、単にお腹が空いているだけかも知れません。

印刷機にノートをセット。黒々とした丸い部分にはインクが塗られています。

レバーをぐっと引き下げて、印刷します!!

世界でひとつだけのオリジナル活版印刷ノートが完成しました!めっちゃ良い感じ!「のんびりおちゃ。」の「。」がポイントだそうです。
活字をプレスすることによって生まれる微妙な凹凸が、あたたかみのある風合いを生み出しています。活版印刷ならではの雰囲気に大満足です。

私のノートはこんな感じに。日が暮れそうになるまで悩んで弾き出したのが「ふわふわかすてら」の8文字。特に意味はありません。
使うのがもったいないくらいのかわいい仕上がり。。。

活版印刷体験ができる部屋の隣には、大量の活字が保管されている部屋があります。ご厚意に甘えて見せていただきました。
棚に並んでいるの、これ全部活字なんです。

活字は使う頻度の高いものをまとめておいたりすること(例えば、「株式会社」の4文字をまとめておくなど)、漢字のへんやつくりでまとめて管理しておくことや、工程が複雑なことから細かい分業体制が敷かれていたことなど、ほとんど知らなかった活版印刷の世界を垣間見させてもらいました。

今でこそPCで自由に何度も印刷レイアウトを変更できますが、1文字1文字を物理的に組んでいくという作業の大変さと、印刷した時の活版印刷ならではの独特の風合いを体感できて、知的好奇心が大いに刺激される体験となりました。印刷ってほんと奥深い技術です。グラフィック好きとして、活版印刷で色んなもの作りて〜という気持ちになりました。

ちなみに、工房と隣接しているショップコーナーでは、活版技術を用いた絵葉書やグッズなどを買うこともできます。

個人的に特に気になったのはこれ。謎の人体図活版。鍼灸を解説するための何かなのかな?ご存じの方いたらこっそり教えてください。

優しいお人柄の「すろうぷれす」國本さんの活版印刷体験、みなさまもぜひ一度足を運んでみてください。

月夜繪葉書店
所在地 : 鳥取県東伯郡湯梨浜町松崎619 2F工房C
営業日 : 毎週土曜日11:00〜17:00(詳しくはInstagramでご確認を)
Instagram : https://www.instagram.com/tsukiyoehagaki/
https://www.instagram.com/slow_kappan/