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誰もがここにいていいんだ、と思える優しい場づくり。「みんなのにげば」に触れてみる。

突然ですが、あなたにとっての「居場所」とはどこを指しますか?

「ファーストプレイス」と呼ばれる自宅、「セカンドプレイス」と呼ばれる職場・学校。そして、一個人としてくつろぐことができる、心地よい「サードプレイス」。

この概念が広く知れ渡るきっかけとなったのは、スターバックスコーヒーが1996年に日本に出店したことでした。(出典:Wikipedia/サードプレイス

そんな従来のサードプレイスの役割を果たす場づくりをしつつも「にげば」という概念を用いて活動する一人の男性を今日はご紹介します。

人と人を繋ぎ、温めながら関係性を構築する存在に

彼の名は大庭周(おおばしゅう)さん。

「日頃、それぞれ抱えている役割や肩書きをいったん置いて、誰もが一人の人間としてただただここにいていいんだ、と思える場を僕はつくりたいです。そこは悩みや不安をありのままに表に出せて、自然とみんなが家に帰ってくるような空間でありたいです」と語る彼。

「高校時代は野球一筋でした」と聞くと妙に納得してしまうほど、さわやかな笑顔が印象に残る鹿児島県出身、静岡県育ちの23歳です。

普段は大手メーカー勤務のバリバリの営業マンでありながら、生き方や働き方、これからのあり方を問い直すイベント「生き方見本市」を静岡県で代表主催することが決まっていたり、「ありのまま実験室」というイベントの運営や定期的に有楽町にあるソーシャルバー「PORTO」でBAR店長をするなど、とても活動的。

心理的安全性が高い繋がりを探求し続ける原体験

そもそも彼が人と人の『繋がり』というものを大事にしようと思ったきっかけは、小学生の時、友人関係で悩んだことでした。

誰よりも涙もろく、繊細な心を持っていることを当時から自分で自覚していたことから、いじめられっこだった事実からなるべく意識を背けて生きていこうと周さんは長く感じていました。

しかし大学生になり、就職活動の一環として自己分析をした時に「過去と向き合わなければ」と思い改めた周さん。

「歩んできた道を振り返ってみた時に、当時の自分がいたから今の自分がいるのだと思いました。弱さを受け止めあえて、そっとそばにいてくれる人をより今後の人生では大事にしたいとその時に思えたんです」。

冨永咲さんとの出会い〜「みんなのにげば」をはじめるまで

そこから「人と人が繋がること」に関心を持ちはじめた周さんは、メーカーの営業職として社会人キャリアをスタートさせながら、場づくりの活動をはじめました。

あるとき以前から日替わりで店長をしていたソーシャルバー「PORTO」で、東京・上野桜木にある「オフラインとオンラインが融合した、人と地域を繋ぐ新しい形のコミュニティ」というコンセプトの場であるかくれ架BASEの運営代表をしている、焼酎おごじょ・2代目ミス薩摩焼酎でもある冨永咲さんと一緒にBARイベントを開催する機会に恵まれた周さん。


既にコミュニティ運営や場づくりに力を入れている咲さんの姿を見て「人は、オフラインで他者と一緒に時を過ごすことで、その人のことを深く知ることが出来ないではないか?」と感じていたところ、「周くん、かくれ架BASEでも月に1回、場を持ちませんか?」と咲さんにお誘いを受けることになりました。

小学生の時に感じた「こんな繋がりがあったらいいな」と、
大人になってから感じた「こんな場所があったらいいのにな」の思い。

周さんが抱えてきた点と点のような思いがやっと繋がった瞬間でした。

みんなのにげばvol.4〜安心できる場所ってなんだろう?〜嶋田匠さんの回

そこから数ヶ月。今まで数々のゲストをお呼びしてきた、みんなのにげば。

8/8(木)に開催された、みんなのにげばvol.4〜「安心できる場所ってなんだろう?」。

今回のゲストは嶋田匠さん。周さんが咲さんと出会うきっかけにもなった場所、ソーシャルバーPORTOを立ち上げた方です。

◆にげばゲスト
嶋田 匠(しまだ・たくみ / ソーシャルバーPORTO)
1992年生。学生時代は原宿キャットストリートで「無料相談屋」として1000名を越える通行人の相談に乗る。大学卒業後はリクルートキャリアに入社。2018年、在職中に日替わり店長のソーシャルバー「PORTO」を友人と共に開業したのち独立し、採用を中心とした組織/人事のコンサルティング会社を経営しながら、個人の“らしさ”ドリブンな複業を支援する事業「コアキナイ」をスタート。

イベントの開始時刻から少し遅れて登場した匠さん。

「ごめんね遅くなっちゃった!」と申し訳なさそうにしながらも、空間にすぐに溶け込む自然な姿に、場は和やかな空気になります。

みんなのにげばの良さの1つめはまず「他者に寛容な場」であること

それが参加者でもゲストでも、主催者が無理を強いて何かを強制することはありません。

学校やお仕事帰りで少し遅れた方がいても「もうはじまっていますが・・」という冷たいワードは一切なし。

どんなときも「おかえりなさい!」とあたたかく受け入れてくれる安心感があります。

みんなが「くる」場所ではなく、「帰ってくる」場所

そして、みんなのにげばの2つ目の良いところは、手料理などのおもてなしから人のぬくもりを肌で感じられることです。

料理が得意な周さんは、毎回食材を用意し、家庭料理を参加者に振舞います。

今回は、出張うどん屋さんの山縣 尚史さんをお迎えし、初めての料理ゲストとのコラボ場づくり。

「美味しいね」という些細なひとことからはじまるコミュニケーションの設計は、周さんが理想としている安心できる場づくりには欠かせません。

今求められているのは、「拠りどころと役どころのバランス」

ゲストの匠さんは、会社員時代に感じていたこと、ソーシャルバーPORTOを立ち上げた時のことなど、過去から現在に至るまでの様々なお話をしてくださいました。

少しづつ場の雰囲気も温まってきたところで、今回のイベントの「安心できる場所ってなんだろう?」という本題に。

匠さんは「人には、拠りどころと役どころが必要。どちらかだけでは満足がいかないし、どちらもあってこそ、心地よく在れるのではないでしょうか」とそっと一人一人に問いかけます。

例えば、働いているときは、その人がどんなスキルを持ち、社会にいかに貢献できるのか?という役どころ(役割)が重要視されますが、それだけが精神的な居場所の割合を多く占めると、つまづいたときに自分の存在意義や価値を見失ってしまうのでは、と同時に指摘。

参加者のみなさんも、自分にとっての「拠りどころ・役どころ」とはどこを指すのだろうと真剣に考えます。

今回の「みんなのにげば」やかくれ架BASEという人が自然と集まる場の存在は、まさに多くの人にとっての「心の拠りどころ」になっているのではないでしょうか。

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夜は次第に更けてゆき、あっという間にお開きの時間に。

最後に全員で集合写真。みなさん、とっても素敵な笑顔です。

「自分らしく生きる」とはどういうことなのか?を意識する機会や、個として「あなたとは何者なのか?」を様々な場で問われることも少なくない現代だからこそ、このように「何者であろうと、ただただ存在を互いに肯定しあえる場所や、まるで家族のように一緒に居られる関係性」が重要になってくるのかもしれません。

周さんがつくる優しい場が、これからどんな風になっていくのか。

一人の友人として、ますます楽しみな気持ちでいっぱいです。

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文・写真 / 川口 ゆり


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