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笑顔のうらがわと、家族写真。

仮住まいに引っ越したての河瀬さんご一家の仮住まいへおじゃますることになりました。「これから」を撮影するにあたって、まずは自分を知ってもらう為のご挨拶です。

撮影するに至った経緯はこちらから↓

カレー作りのリクエストがあったので、伺う前に材料を買ってお宅へ向かいました。この時、河瀬さんご家族は引っ越してからはまだ3日ほど。お言葉に甘えて伺うことにはなったけれど、どんな顔をしていけばいいんだろう。うまく挨拶できるかなあ。ぐるぐる頭の中で考えながら玄関を開けると・・・


「いらっしゃい!よくきてくれました、ありがとうね!」

奥さまと3人のお子さんが笑顔で迎えてくれました。ぐるぐるしてた頭もおさまって、なんだかほっと落ち着きます。

はじめましての時だったけれど、すごく自然に迎え入れてくださって。それからすぐにお子さん達と一緒にカレー作りがはじまりました。スパイスから作る本格カレー。家族で作る、みんな大好きなパパカレーだそう。前のお家でもよく作ったんだよ!と教えてくれました。

スパイスの良い匂いがたちこめるキッチンでは、なぞなぞクイズ攻撃にあったり。誰が一番美味しそうに盛り付けできるか競ったり。楽しい時間が流れます。


でもふとした瞬間、火事の記憶が降ってきます。


たまねぎを炒めていたお子さん。
「火、こわい」と突然手が止まりました。

それまで普通にキッチンに立って笑ってたのに。でもすぐにまた元に戻って、一緒にカレーを作ってくれました。「しほちゃんの負け〜」とからかいながら笑ってくれました。

命からがら火から逃げだせたお子さん達。どんな心の傷を負っているんだろう。胸がぎゅっと締め付けられる感覚が体に走りました。


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おいしいカレーも出来上がり、みんなで食べて笑顔が溢れたリビング。私のカメラでみんなを撮ってくれたりもしました。そんな時ふと、私が前回撮影した写真の話に。(お家の前でボランティアとして駆けつけたみなさんとの集合写真)

「しほちゃんがすごく良い写真を撮ってくれたんだよ」写真を見せながら言ってくれた河瀬さん。あの写真を現像して今日プレゼントすればよかったかなあ、と頭によぎります。でもその後奥さまがこう言いました。

「うん、すごく良い写真だけど、今はちょっと見れないの・・・」


さっきキッチンで起きた出来事と同じくして、その後すぐに笑顔を見せてくださったけど・・・ 笑顔のうらがわの、はかり知れない心の傷。自分の想像力の乏しさに嫌気が差しました。


そして帰る時間が近づいてきた頃、河瀬さんが言いました。「しほちゃんに家族写真を撮ってもらおう」


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そうして撮らせてもらった家族写真。その後この写真を送ったら、こんな返事をくれました。

「妻は家宝にすると。どんだけ家宝があるんだ笑」


この言葉を頂いて、なんのために、だれのために撮る写真なのか。笑顔のうらがわに触れながら、また改めて感じたこの日。間違う時もあるかもしれないけど、常に考えながら撮影したい。痛みを想像できる人間になりたい。

今のお家にすぐに飾れるような写真を、まずは撮りたいなあ。

そして河瀬さん、おじゃまさせていただきありがとうございました。この時のカレーが美味しすぎて、あれから2回も家で作ってみたけど大失敗です。みんなに教わりながら、またカレーを作って写真を撮りたいです。


サポート、心より感謝します。 頂いたサポートを糧にがんばります!