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わたしとカメラ 1

カメラとの出会いは遅い方だったと思う。22歳の時、大学生最後の1年でわたしとカメラは出会った。

それまでは写真を撮るということに対して、特に興味も無かったように思う。研修で生まれて始めていった海外でも、半月近くを過ごすというのにたった1台の写ルンですを持って行っただけで。記録に残すよりも、記憶に残せば良い…当時はそんな風に考えていた。

しかし21歳から22歳にかけて、色々なことが変わった。

祖父が亡くなった。大学4年生にして、初めてのひとり暮らしが始まった。すぐ側には他大学に進学した幼馴染みが住んでおり、3日に1度は顔を合わせるようになった。彼女と2人して、近所のカフェに入り浸り始めた。そうしてそのカフェで、わたしはカメラに出会ったのだ。

ちょうどその頃、カフェの常連さん達の一部がカメラにハマっていて。大人達が群がる面白そうな玩具に興味が湧いて、自分と友達もその輪に入らんとすべく。それぞれに、実家で眠るカメラを調達してくることにした。


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我が祖父はカメラが趣味だった。

戸棚には家族、孫、親戚、戦友会…とカテゴライズされたアルバムが何冊も並んでおり。小さな頃は祖父の家に行くたびに、その中から自分や家族が写ったものを引っ張り出しては眺めていたものだ。微かに残る幼い日の記憶を写真から呼び覚まされたり、共に眺めながら覚えがないことを両親から話してもらったり。そんな風に写真を通して家族が繋がる時間が好きだった。

だから今は亡き祖父の家の戸棚に、コンパクトカメラや一眼レフが5~6台ほど眠っていることをしっかりと覚えていたのだ。そして良い機会だからと、今はもう使う人間のいないそれらを自分がもらい受けて使おうと思った。



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