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手術

闇の中でじっと座っている
どこでもない場所、きっとそこには壁があるのだろうと思いながら、きっと睨むようにそちらを見る。まるで深淵を覗くみたいに、でもそこには何も見えないし、そちらがこちらを覗いている感覚すらない。

まるで空間がロボトミー手術を受けてるみたいだ
それとも僕は何かを矯正されているのかもしれない。もはやここにいる以前の記憶はなくしてしまった。時計じかけのオレンジでは、ラストシーンになると魔法、いや呪いはもう解けている。あれはただの呪いだ。解こうと思って解けないが、完全に解けないわけではない。 

闇の中でじっと座る
それは思考を立ち返らせる何かを僕に与え
その変わりといって記憶を奪う
痛みを失い、感覚を失い、いつしか意識を失う
幽体離脱して、寝転ぶ僕の姿を見る
今の僕は一体??

目が覚めると、光がない
当たり前だ。もともとこの世界に
光は、ない、のだから
また闇の中でじっと座る

突然明かりがつく
何事もなかったかのように
両親が泣いている
僕はただ困った顔をして
おもむろに電気を消した
そして闇の中でじっと座る

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