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風雲急

先月、レディマクベスを観てきました。
天海祐希さんとアダム・クーパーさん。
こちらもダメ元で!えぃ!っと、チケット申し込みをしたものでした。
やはり競争率は高かったようですが、ありがたいことに当選。
秋の京都、朝の空気を吸いながらぶらり行ってきました。
京都劇場なので、京都駅すぐ、迷わない!
いつも横目で見てるだけで、そう言えば足を踏み入れたことがなかったと気付きました。

*以下、ネタバレを避けたい方はそっと画面を閉じてください。


マクベスは、アダム・クーパーさんで、その夫人を天海さんが演じます。
マクベス夫人は元軍人という、天海さんにピタっとくる設定。
娘の吉川愛さんを産んでから戦場に戻れる体ではなくなって、夫の帰りを待ち、家庭を守る日々。
天海さんが放つオーラからして、そんな毎日、夫人にとって鬱屈とするのは想像に難くありませんね。
冒頭からひしひしと伝わってきます。
アダム・クーパーさんの辿々しい日本語も、どんどん病みの深まるマクベスを象徴している感じでした。
お一人だけ日本人ではないアダムさん、どうしたって浮きます。
このどうしようもない浮き具合を逆手に生かせるかどうか、というハードルの高さを感じました。
マクダフもレノックスも女性で、鈴木保奈美さんと宮下今日子さん、美しい。
イライラキリキリした場の雰囲気を、お2人がより際立たせ、さらにぽんぽん燃料を投下するような。
そんな場を、ゆらゆら陽炎みたいに要潤さんのバンクォーが宥めるように煽ります、妖しいこと。
それぞれ、本来であればマクベスの友人や同僚ですが、レディマクベスではマクベス夫人の友人や同僚設定でした。
栗原英雄さんのダンカン王、かっこよい。

全体を通して、実体のない焦燥感がジリジリ逃げ道を塞いで追い詰めてくる感じです。
後半、アダムさんと天海さんのダンスは延々と見ていたい優雅さと色気がありました。
個人的に一番こころ惹かれたのが、吉川さんでした。
じわじわじわ加速していく焦燥感の果てに、静かに破裂したラスト。
マクベスの娘、吉川さんは、周りの大人たちとは逆に、独りどうしようもないやるせなさに、ずるずると引き摺りおろされるように脱力していくようでした。

終演後、脚本を文字で読んでみたいな、と思いました。
それから、またもう1度観たい。
言葉遊びや言い回しは、おもしろいと感じる質なので、レディマクベスも一回入れてからの方が私みたいな初心者🔰には良いのかなとか。
シェイクスピア系は、友人が竜也さんファンということもあって、学生時代、蜷川さんの舞台などによく連れて行ってくれました。
なので、長台詞な感じとかは割と慣らしてもらったなぁと思ってるのですが。
以前、いくつか蜷川さん演出じゃない舞台を観てたら、何でか台詞がよく転がっていっちゃうんですよねぇ。
今回もちょっとやっぱり転がっていってしまって、頭が追いつかないときがありました。
私自身、舞台観るのは好きなんですが、恥ずかしながら特に技術技法がどうこうみたいなところなんか特に知識がうっすいまんまで、いつまでたってもimpressの部分だけを食べてるって感じがします。
だから、長台詞や独特の言い回し、音遊びが転がっていっちゃわずに捕らえて相手に咀嚼させるって、ごく当たり前のように享受してたんだけど、すごいことだったんだなぁと改めて思います。

あと、マクベス夫人、といえば、私の中では新感線メタルマクベスの松たか子さんがかなり根深くてですね。
これはもう、ほんとどうしようもないなと思って。
今回のレディマクベスは、もちろんまったく別ものなので、比較のしようはないのですが。
久しぶりにDVDを引っ張り出してこようかな?と思ったのですが、長丁場なんですよね、メタルマクベス。
また時間がゆっくりとれたら、見返してみよう。

さてさて、2023年、日々、たくさんの揺らぎの中でも、振り返ってみたらとてもすてきな1年だったので、自分自身もいろんな方にとっても、来年もまたキラキラ輝くような年でありますように、と願いながらおいしいお酒でも呑みましょうかね。

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