見出し画像

『ミラクルエッシャー展』を観た(2018/6/7)

みんな! エッシャーだよ!

だまし絵で有名なマウリッツ・コルネリス・エッシャーだよ!

学校の美術の授業でエッシャーの作品を観て、見れば見る程目が捻れそうになる感覚に陥り作品の世界に捕らわれてだまし絵を創りたくなってしまったという経験のある人も沢山いるはず。

エッシャー生誕120年を記念し、今展覧会ではイスラエル博物館から約150点もの日本初公開の所蔵品が来日。

ミラクルエッシャー展のCMでサカナクションの『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』が流れて、何事だ? と思っていたけれど、エッシャーの唯一の趣味がバッハを聴くことだったから、という繋がりなんだとか。

私が上野の森美術館に着いたのは開場時間である10時の10分前だったのに既に列ができており、帰り際の12時手前には館内アナウンスでこの後更に混雑が予想されると知らせていて、エッシャーの絶大な人気が伺えた。

展覧会場では入口で時間を遡る様な順番で晩年から出生までのあらましが書かれていて、作品は『科学』『聖書』『風景』『人物』『広告』『技法』『反射』『錯視』の8つの項目に分けてエッシャーの画業を紐解いていく展示展開となっており、通路の狭さも相まってエッシャーの作品の様に迷宮に入り込んでしまう様な感覚になる演出だった。

観ていて意外だったのは、晩年に少年マガジンの表紙に起用されていた事と、エッシャーの描くバベルの塔が、塔よりも言葉が通じなくなり混乱に陥る人々の描写の方が印象的だった事。

鏡や水溜まりに焦点を当てている作品は胡乱な感じで妙に心奪われた。鏡に映るエッシャー本人を描いている作品もあったけれど、本人がメインという感じはせず、熱心に写生していたらよくよく見返してみると自分が入り込んでしまっていた。という雰囲気でもあった。

版画を学んで間もない頃の作品も多数展示されていて思ったのは、決してエッシャーは天才肌では無かったのかな。という事。こんなにも歳を重ねる毎に描き込み量や細密さ、版画技術の向上が顕著に現れているって著名な方では中々いないような気がした。
あの幾何学模様と日常が溶け合ったような、自然に不自然を混ざり込ませる事の出来るセンス、無限に続く矛盾した構図は一朝一夕で獲得出来る訳がない。エッシャーは版画という世界に心酔していたからこそ、純粋に版画の技術・構図に心酔して欲しくて、作品の深読みは嫌っていたのかなあ。

会場:上野の森美術館
期間:2018年6月6日~7月29日
入場料:一般1600円

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?