浜田昭八さんへの謝意

昨日、日本経済新聞朝刊にスポーツライターの浜田昭八さんが同紙で担当しているコラム『選球眼』の連載終了と執筆活動からの引退を表明し、読者への「サヨナラ原稿」を寄稿されました[1]。

思わせぶりなスポーツ評論とは一線を画す、余情を排して事柄に即し、是々非々の態度で対象に臨む浜田さんの評論は読みごたえがあり、日本経済新聞の良質なスポーツ面に欠かすことの出来ない存在でした。

特に1997年1月6日から1999年5月28日にかけて連載された「監督たちの戦い」は、取り上げられた顔触れだけでなく毎回の内容の濃厚さから、日本のプロ野球における監督のあり方を考える際に欠かせない論考です。

私も毎回記事を切り抜き、書籍化された後も折に触れて読み返したものです。

ところで、浜田さんとは、アメリカ野球愛好会(AABR)の会員同士でもありました。

所属先が法政大学から名城大学に変更なったことなどもあり、私は2020年3月でAABRを退会しました。

しかし、1996年4月に入会して以来、浜田さんとは定例会合などでご一緒する機会に与り、種々のご指導を頂戴しました。

そして、今回の「サヨナラ原稿」にも書かれているように浜田さんが2000年に東京での勤務を終えて関西に戻られた際には、野球関係の蔵書の一部を譲っていただきました。

日本経済新聞本社に浜田さんを尋ね、お譲りいただいた書籍の中には選手の伝記や大リーグ関連の研究書から野球史に関するものまで様々な種類の本が含まれており、私が野球史の研究を進める上で今でも大いに重宝しています。

今回、浜田さんがスポーツ評論から引退されるのは今年2月の怪我が原因とのことで、結果的に2月6日(月)の『選球眼』が最終回になりました。

その後新しい記事が掲載されないのは、キャンプやWBCという2月から3月にかけての日本のプロ野球の日程が紙面構成に影響を与えた結果だと思っていただけに、今回の一報は予期せぬ出来事でした。

それでも、浜田さんの執筆に臨んでの心構えや野球をはじめとする種々のスポーツへの接し方は世代を超えて引き継がれるものです。

何より、その記事一つひとつが持つ価値は、高まることはあっても色褪せるものではありません。

この67年間の取材と執筆活動に深謝するとともに、いずれ『選球眼』をまとめた書籍が単行本化されることを期待するところです。

[1]「選球眼」筆者・浜田昭八氏、読者に別れ. 日本経済新聞, 2023年4月4日朝刊41面.

<Executive Summary>
Deepest Gratitude for Mr. Shohachi Hamada's Contributuion to the Development of Japanese Sports Writing (Yusuke Suzumura)

Mr. Shohachi Hamada, a sports writer and a former staff writer of the Nihon Kezai Shimbun, retired in February 2023. On this occasion, I express my deepest gratitude for Mr. Hamada's contributon to the development of Japanese sports writing.

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