2022年のワールド・シリーズについて思ういくつかのこと

現地時間の11月5日(土)、大リーグのワールド・シリーズの第6戦が行われ、アメリカン・リーグの優勝者であるヒューストン・アストロズがナショナル・リーグ代表のフィラデルフィア・フィリーズに4対1で勝利し、2017年以来5年ぶり2度目のワールド・チャンピオンとなりました。

今回は、第4戦でアストロズが4投手の継投により1956年以来66年ぶり2度目となるワールド・シリーズでの無安打無得点試合を達成するなど、第3戦目まではフィリーズが優勢に立っていたものの、後半はアストロズがシリーズの流れを引き寄せた感がありました。

また、フィリーズはナショナル・リーグ東地区3位からポスト・シーズンを勝ち抜いてワールド・シリーズに臨んだ一方で、アストロズは今季のアメリカン・リーグ1位となる106勝を挙げ、地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズとも無敗であったという好調さを失わなかったという相違も、今年のシリーズの帰趨を決するうえで少なからず影響したことでしょう。

ところで、アストロズがワールド・シリーズを制覇したことで、ダスティ・ベイカー監督は2003年にフロリダ・マーリンズのジャック・マッキーン監督の72歳11か月2日の記録を更新する73歳4か月21日での優勝監督となりました。

経験と実績による指揮よりも、統計や確率に基づく定量的な情報に従って試合を進める人材を求めるという2010年代以降の潮流もあり、監督の若返りが進むのが、現在大リーグです。

そのような中にあって、1993年から25シーズンにわたり監督を務めるベイカー氏は、今季途中で退任したジョー・マドン氏やシーズン終了後に引退したトニー・ラルーサ氏とともに、旧来の監督像を象徴する1人です。

それとともに忘れてはならないのは、どれほど高名で実績のある人物であっても現在の成績が好ましいものでなければ解任されるのが大リーグの監督です。

また、しばしばシーズン中の選手の移動距離の長さが注目される大リーグながら、実際には監督やコーチも同様の移動を行っているのですから、高齢の監督にとって精神的にも肉体的にも負荷がかかることは容易に想像できます。

それだけに、25年にわたって監督を務めるだけでなく、25年間監督であり続けたということが、今回の新記録の樹立とともに、ベイカー氏に初のワールド・シリーズ優勝をもたらしました。

そして、今年のワールド・シリーズが"Fall Classic"の名の通り、秋の傑作であったことを振り返りつつ、最後まで球界の頂点を巡り見応えのある試合を繰り広げたアストロズとフィリーズの選手の健闘を讃える次第です。

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of the World Series 2022 (Yusuke Suzumura)

The World Series 2022 was held from 28th October to 5th November 2022 and the Houston Astros defeated the Philadelphia Phillies. On this occasion I express miscellaneous impressions of the Fall Classic.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?