デレク・ジーター氏とラリー・ウォーカー氏の「殿堂入り」に寄せて

去る1月21日(火)、元ニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーター氏とコロラド・ロッキーズなどに在籍したラリー・ウォーカー氏がアメリカ野球殿堂の顕彰者に選出されました。

ジーター氏については全397票のうち、396票を獲得しての選出でした。

「1票足りずに満票を逃した」ことで、ジーター氏は昨年選出されたマリアーノ・リベラ氏に続いての「満票での選出」の機会を逸しました。

また、満票での殿堂入りを逃したことで、ジーター氏は史上初の「満票で新人王を獲得し、殿堂入りした選手」となることもありませんでした。

これらの事柄はいずれも野球殿堂の記録の上からは惜しまれるものです。

その一方で、今回の結果によって「資格1年目で1票足りず満票を逃したのは誰?」、あるいは「満票で新人王を獲得したけれど、殿堂入りの際には1票足りず満票を逃したのは誰?」といった類の、「野球クイズ」の新しい設問が生まれたことになり、野球史の新しい逸話を作ったと言えるでしょう。

一方、ウォーカー氏は、通算安打数(2160本)と本塁打数(383本)は傑出した成績ではないものの、1995年から2004年途中まで在籍したコロラド・ロッキーズで3度の首位打者、1回の本塁打王、そしてMVPを1回獲得したことで、1990年代から2000年代初頭にかけて一時代を築いたものでした。

特に、ロッキーズ時代の10年間で打率.334、258本塁打、848打点を記録したことは、「打者有利」のロッキーズにあってもひときわ目を惹くものでした。

ただ、カナダのスポーツ殿堂に選ばれたものの、「打者有利のロッキーズ」という印象が得票率を伸び悩ませ、資格最終年まで選出が遅れたと言えるでしょう。

ウォーカー氏の人柄の気さくさは広く知られるところで、ロッキーズ時代はNHLのコロラド・アバランチのシーズンチケットを購入していたほどでした。

それだけに、資格最終年となる今年選出されたことは、大いに喜ばしいことです。

両氏の「殿堂入り」に改めて祝意を表する次第であります。

<Executive Summary>
Celebrating Mr. Derek Jeter and Mr. Larry Walker as the New Members of the National Baseball Hall of Fame
(Yusuke Suzumura)


Mr. Derek Jeter, the Former Captain of the New York Yankees, and Mr. Larry Walker, the Former Outfielder of three MLB teams, were elected as the new members of the National Baseball Hall of Fame on 21st January 2020.

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