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新年は“はえぬき”パエリャで塞翁が馬

この年末年始は帰省も旅行もせずに自宅で過ごしている。年末に惣菜店のオードブルは買ってきたものの、典型的なおせちもお雑煮もなくいつもとあまり代わり映えのない食生活だ。

お正月の三が日、近所のスーパーは閉店。食材の買い置きはとくに多くはなかったのだけど、冷凍していた赤エビがある。ここはわたしの十八番、パエリャでも作ろうか、という話に落ち着いた。

しまいこんでいた36センチ径の大きなパエリャ鍋を出した。いただき物だったけど、大きすぎて一度も使わないままになっていたものだ。

パエリャはnoteでは今まで2回ほど記録に残した。わたしの数少ない料理レパートリーのひとつで、その時々で手に入った食材で作っている。もちろん回数はもっと作ってはいるのだけど、それ以上はわざわざレシピを残したりはしていなかった。

じつはイカ墨はイカからとるのはけっこう大変。イカ墨ペーストで再挑戦しないとと思いながらもまだ実現していない。

この時に書いたように、パエリャはスープが命。スープ次第で味に幅ができる。そこは日本食の出汁といっしょ。パエリャはもっと日本料理化できる潜在性があるように思うのだけど、なぜかそうはなっていない。スペイン料理としての印象が強すぎるのか。

もしかしたらコメの違いがその理由のひとつ?たしかにわたしはいつもわざわざ長粒種を使っていた。日本のお米でできればいいのかもしれない。

そうだ、買い置きしていた未開封の日本米があった。それは山形県産の“はえぬき”。じつは以前、銀座のスペイン料理店でこの銘柄のお米が使われているのを知って買っておいたものだ。

そのとき同席していた宝石鑑別界一(わたしの独断)のグルメなイタリア人がその味に感銘を受けてシェフに訊いてくれたのでわかったこと。彼の話ではパエリャといえば長粒米なのにそのお店では短い日本米で、しかもそれが想定外の美味だったから訊いたとのこと。なお、今はそのイタリア人は引退してニューヨークでリゾットがメインのお店をやっている。

この“はえぬき”を使ってパエリャを作ろう。わたし初、日本米を使ったパエリャ。

そうそう、この年末年始のnote公式さんの連続投稿企画に「#つくってみた」があった。なんとタイムリーな企画名だろう。

我が家の食材、noteの企画。いろいろな要素が集まって“はえぬき”パエリャを作ることが決定した。

前置きが長くなったけど、以下がレシピ。

材料(3〜4人分)
 有頭赤エビ:6尾
 たまねぎ:1個
 ニンニク:2かけ(大+小)
 ピーマン:1個
 茄子:1本
 トマト:1個
 パエリャのスパイスミックス:2人前1袋
 雲丹うにひしお:小さじ1
 日本米(はえぬき):約300グラム
 塩コショウ:少々
 オリーブオイル:適宜

材料を並べてみた。お米はこの中から直接ザラザラとパエリャ鍋に出した。

下ごしらえ(具材):たまねぎとニンニクはみじん切り、トマトはサイコロ状、ピーマンと茄子は短冊状に。

下ごしらえ(スープ):スパイスミックス(今回使ったのは炊き込みご飯のように使えるもの)をお湯300グラム程度に溶かし、そこに雲丹うにひしおを混ぜる。雲丹醤はわたしが最近ひそかに気に入っているもの。単にスパイスミックスが2人用でちょっと少なめだったので加えてみた。ほかに魚醤があればそれも良いかと思う。

手順1:オリーブオイルとお湯を少々入れた鍋を加熱して、凍ったままの赤エビを投入。お湯を入れるのは焦げ付かないように。凍ったままなので水分はエビからけっこう出るので気にせずそのまま。

手順2:いっぽうでパエリャ鍋にオリーブオイルをひいて加熱。ニンニクのかけらを入れて狐色になるタイミングまで待つ。

手順3:野菜類を次々投入して炒める。順序はとくに気にせず。わたしはたまねぎとトマトをぐゎーっと炒めて、その後に茄子とピーマンを炒めた感じ。炒め終わった茄子とピーマンは焦げないようパエリャ鍋から出しておく。

手順4:その頃には赤エビにじゅうぶん火が通っているので、エビの鍋を消火。エビの頭を潰す(←これ重要)。鍋にエビを残して液体だけをパエリャ鍋に投入。

手順5:パエリャ鍋にスープ(下ごしらえで作っていたもの)を投入。

手順6:そこに“はえぬき”を入れる。洗わず。いわゆる無洗米ではないのだけど、そんなことは気にしない。ここは定番の十字型(十字になるようにお米を入れ、ギリギリ浸るぐらいにスープを入れる)。じっさいは計量していないのでわからないのだけど、2合近くはあったかもしれない、ということでレシピには300グラムと書いた。お湯を加えて調整。ここは日本米だから本当はちゃんと計量すべきなのかも。

手順7:そのままお米が茹であがるまで待つ。ちょうどの頃合いで全体を混ぜてよけておいた茄子とピーマン、エビを入れる。塩コショウで微調整。できあがり。

コンロの上のはえぬきパエリャ。このとおりパエリャ鍋がコンロに対してかなり大きい。

じつは今回の調理はスムーズに行かなかった。パエリャ鍋が大きすぎて、さらに鍋の底面は反っている(中央が盛り上がっていて周辺が下がっている)から、ハイテクの我が家のガスコンロはそれを空焚きだと判断した。そうすると自動で火力を下げて最終的には消火してしまう。

これには閉口した。いつものもう少し小ぶりなパエリャ鍋も底はフラットではないのだけど、なんとかなっていた。しかし途中で消火されてしまっては料理自体ができないではないか。

それでやむなく、パエリャ鍋の周辺部にお米を集めて強火にし、火が消えてはけ、あとは混ぜるようにした。結果、炊き上がる前に炒めるような状態になって芯が残ってしまったお米があった。上の写真はなんとか見た目を整えるべく“盛り付けた”後の写真だ。

写真のとおり、短粒米なので全体の印象が異なる。粒々が目立っているというか。なるべく熱を通すため長めに混ぜ続けたこともあって随所におこげヽヽヽができた。

今回は失敗したかなと思っていたら、家族には意外と好評。おこげも美味しいとのことだった。芯の残る米粒もそれほど気にならないらしい。

熱の通り具合にムラができてしまって一部に芯が残ったのは先述のとおり。日本米だと型崩れするかとの懸念があったのだけど、逆にしっかり形が残ったのはこの大きすぎるパエリャ鍋に温度のムラができたせいか。

いや、はえぬきブランドのおかげかもしれない。たしかスペイン料理店のシェフが米粒の形についても話していたような記憶がある。はえぬきは崩れにくいのが良いとかなんとか。

検索してみると山形産米の販売サイトがいくつか見つかる(たとえば以下のリンク)。

なんでもはえぬきはコンビニのおにぎりにも使われている品種だという。粒が崩れにくく、冷めても美味しい。しかもほかのブランド米よりも安価。良いことづくめじゃないか。

苦労はしたけど人生万事塞翁が馬。

幸先の良い一年のスタートと言っても良い・・・かな。

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