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バスマティライスを”茹でる”

しばらく料理ネタを書いていなかった。なにも作っていないというわけではないのだけど、わざわざレシピを起こしてまとめるような目新しいものがない。ただそれだけのこと。

しかし、こうして更新しているということは、目新しいものを作ったのかときかれそうだ。それが残念ながら、まだない。だから、過去のネタとちょっとかぶる話題にするつもり。

1年と少し経ったわたしのnoteのなかで、もっともビュー数が多いのは1月に書いた「バスマティライスのあさりリゾット」という記事だ。

不思議なことに、絵よりも宝石よりも猫よりもずば抜けてアクセスが多い。ひそかにみなさん、バスマティライスをつかったレシピを探してる?

コメが主食の日本。しかし、長粒米はなじみがうすい。ましてやバスマティライスなんて品種(ブランド?)名はあまり知られてもいなさそうだけど、どうなんだろう。ビュー数が多いということは、案外そうでもないのかもしれない。日本の外に出ると長粒米のほうが主流だ。エスニック料理ブームで以前よりも人気があるんだろうか。

1月に書いたリゾットは、多くある長粒米料理のひとつ。リゾット以外にも美味しくて汎用性のたかい食べ方がまだまだある。5月に書いたイカ様パエリャもそんな長粒米をつかった料理のひとつだ。

これらは広い意味で炊き込みご飯の一種。わたしたち日本人にとってはお米といえば白米。長粒米にも、おなじようにシンプルな炊き方がある

というわけで、前置きが長くなったけど、今回はシンプルなバスマティライスのレシピを紹介する。

◆◇◆

材料(4人分)
 バスマティライス:3カップ
 バター:約80グラム
 塩:適量
 スパイス:適量

下ごしらえ1:バスマティライスを簡単に洗う。何度か水につけて上澄みを流す程度。日本米のように研ぐ必要はない。その後20〜30分ほど水に浸しておく。

下ごしらえ2:バター、塩、スパイスを混ぜる。スパイスはカルダモンあたりが良いみたいだけど、お好みで。エスニック料理用にブレンドされたものでも良いと思う。わたしはいただきもののシリアのスパイスをつかった(実は中身をよく理解していない・・・)。いろいろ試してベストのスパイスを見つけるのも楽しいかも。

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手順1:おおきめの鍋で大量の水を沸かす。しっかり沸騰したらバスマティライスを投入。蓋はしない。

手順2:お湯の対流で米粒がぐるぐるまわるのが理想。そうならなければヘラなんかでかき混ぜる。吹きこぼれそうになったら火力を調整(吹きこぼれないようになるべくおおきな鍋を!)。ぐるぐるまわるお米のなかにバター・塩・スパイスを投入。自動的に溶けて混じるのでお手軽。

手順3:7〜8分で硬さ確認。ちょっと芯がのこる程度で火をとめる。

手順4:火をとめたら水をすてる。お米はザルにあげる。

手順5:ザルにあげたお米を空になった鍋にもどす。余熱で数分放置。

手順6:温度がさがって米粒が落ちついた感じになれば、お皿に盛って出来上がり。

ほんのりバター風味と、バスマティライス独自の香りが食欲をそそる。濃いめの味付けの料理にぴったり。下の写真は、出来合いの白身魚のハーブ焼き、レタスと焼いたズッキーニといっしょに食べたときのもの(盛り付けが雑なのはご愛嬌)。

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この調理法は”湯取り法”と呼ばれるらしい。調理方法のくわしい分類は知らない。ここで紹介した方法は、じつは20年ちかく前にケニアで雇っていたメイドさんに教わったものだ。

ケニアはもともと英国領。おなじ英国領だったインドから多くの移住者がいたため、インド文化が浸透している。ケニア人のメイドさんは、東アフリカの料理はもちろんだけど、インド由来の料理も上手だった。買い置きしておいた食材で、彼女に適当に料理してもらうことが多かった。

汁物にくわえて用意されていたのは、だいたいがお米かチャパティだった。お米は長粒米のバターライス。ちょっとバター風味が強めだったので、バターを控えめにお願いしたら、わたしの口にはちょうどよかった。今回のレシピはそのときのものだ。

わたしはもともとそんなにご飯(お米)が好きというわけではない。大学・大学院で一人暮らしをしていた時も、炊飯器は持っていなかった。だいたいがパンかパスタ。たまに長粒米でリゾットやピラフをつくっていたぐらい。日本食はもっぱら食堂だった。

家族をもったいま、妻と長男は白米が大好きなので、ほぼ毎日が日本米だ。しかし、ときおりこうしてエスニック風味が恋しくなり、そのときはわたしがつくるようになった。上のとおりの調理法なので、長粒米のお米は蒸らす過程をふくんだ”炊く”というイメージではなくて、パスタみたいに”茹でる”のほうがしっくりくる。

ちょっと古い記事だけど、現代ビジネス(JB Press)の「食の研究所」という連載コラムのウェブサイトに興味深い記事をみつけた。

日本でももとは、雑穀といっしょに湯取り法で”煮て”いたものが、かまどと鍋で”炊く”ようになったのだという。西日本と東日本での「煮る」「炊く」の語の使い分けにまで考察がおよんでいておもしろい。

「煮る」は「茹でる」に感覚がちかい。わたしはこのnoteのはじめのほうで「茹でる」としたけど、まさにこのJB Pressの記事の「煮る」のような感覚でつかった。わたしがエスニック料理好きなことはさておいても、湯取り法に自然に馴染めたのはわたしが西日本出身だからだろうか。

余談が続いてしまった。

今回はこのとおりシンプルにライスだけ。ほんとうはビリヤニとかもつくりたいのだけど、まだレシピが定まっていないし、どうもうまくできない。

シンプルに”茹でた”だけのバスマティライス。濃いめの味付けの料理との相性はほんとうに良い。スーパーの出来合いで良いので、このnoteを読んで試してくれるひとがいるといいなぁ。

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