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成長

私は今から、髪を切りにいく。
高校3年生になって部活を引退したタイミングでショートボブにしてからは、髪を長く伸ばしたことがほとんどなかった。
だけど、一昨年の年末に今の彼と出会ってから髪を伸ばしはじめ、今ではもう鎖骨の下ぐらいまで伸びている。
そして最近、また急に髪を切りたくなってきてしまって、ついさっき、自転車で行ける距離の美容院を探して当日予約した。

この髪を切ったら私、変われるかな?なんてこと、もう考えるような年齢ではなくなった。
どうせ髪を切ったってちょっとした気分転換になるだけで、うんざりするほど平坦ないつもの日常が続いていく。

半年前に人生初の試みに胸を躍らせながら美容院に行き、きれいに染めてもらったオレンジ色のインナーカラーの根本部分が、もう顎下ぐらいまできている。
どうせなら、このオレンジ色が見えなくなってしまうくらいまでバッサリ切ってみようかな。

人生にはときどき、こういう瞬間があるよなぁと思う。
昔さんざん心を注いだ何かを、振り返ることなく、特別な決意をするわけでもなく、ただ淡々と切り捨てて前に進んでいく、そんな瞬間が。
なんだか悲しいような気もするけど、そんな大したことがないような気もして、だから人生って、よくわからないよなぁと思う。

きっと私は髪が短くなった自分を鏡で見て、どうせまたいつものように「新しい自分!」なんて思ってしまうのだろう。数日間は早起きしてきれいにブラッシングをしたり、スタイリング剤を使ってセットしたりするかもしれない。
だけどおそらくそんな自分にもすぐ慣れて、そこら辺に転がっているゴムで無造作に束ねるようになるんだろうな。
仮にそうなっても少しはマシな見栄えになるように、今からかわいい飾りの付いたヘアゴムを買っておこうかしら。なんてね。

ともあれ、こうして髪を切ったり伸ばしたりするぐらいのなんでもない出来事の連続である日常に飽き飽きして、もっと強い刺激のある方へとヤケクソになって走ってしまうようなことがもうほとんどなくなったのは、今の職場に出会って、今の彼に出会って、新しい自分に出会って、その中で変わらない日常を愛おしいって思えるようになったからかな。

きっとこの一年ちょっとで、成長したのね。
私の髪も、私自身も。

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