短編小説『ええ女』
「別れよう」
「え、なんで」
「お前、女ちゃうすぎるわ」
「…は?」
「だからどっちかといったら男やねん、お前は。友達に“彼女”って紹介するのも恥ずかしいわ」
彼にそう告げられたとき、私の指に挟まれたセブンスターから一塊の灰がぽとりと床へ落ちていった。
「最初はそういうボーイッシュなところが好きやったけど、もはやボーイッシュとかちゃうねん、男やねん」
「でも男やったら付いてるもん、付いてないで?」
私はそう言いながら、「自分何言うてんねん」と思った。でも何か言わないといけない