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リスキリングの前にキャリアについて考える習慣を

とある企業でミドルシニアのリスキリングプロジェクトに取り組んでいます。

昨今は、ChatGPTなどテクノロジーの進展に伴って、多くの業界で、いよいよ業務を変えなければという危機感が高まっており、本格的にリスキリングの必要性に迫られている会社が増えているように思います。

研修に行かせたり、異動希望制度を設けたりと、あの手この手で行動を促していますが、制度は充実させたけれど、肝心の利用者が伸びないという悩みがあるようです。

強制的に新たなスキルを身に着けさせようとしたり、配置転換をしても、
本人のモチベーションも上がらなければ、パフォーマンスにつながらない。
かといってこのまま漫然と既存の業務を続けてもらっても困る。
リスキリングを進めようとすると、こうした壁にぶつかってしまいます。

「馬を水辺に連れて行けても 水を飲ますことはできない」
という言葉がありますが、どうすれば主体的に変化してくれるか、
そのアプローチ方法が求められているように思います。

私が取り組んでいるリスキリングプロジェクトでは、この課題に対して、
本人の内省を促す1対1のカウンセリングと、グループ対話による
フィードバックの2つを組み合わせたアプローチをとりました。

カウンセラーとまずは気持ちを十分に吐き出してもらう時間をとってみると、最初は「どうしたらいいかわからない」「何をやりたいと聞かれても困る」というところからスタートした人であっても、回を重ね、自分がこれまで経験した仕事を振り返っていくうちに、自分がやりがいを感じたこと、何を大事にしたいかということの輪郭が、少しずつ言葉になってくることがあります。

誰かに伝えることを通じて、自分の考えが整理されていくのです。

また、こうして自分の考えが整理されてくると、全員とは言いませんが、
今の会社の状況と向き合う心の準備もできてくるようです。

事業環境が変わる中で、変えられないものを受け止め、その中にあって、自分がどういう方向にキャリアを向けていきたいか、落ち着いて考えてくださるようになるのです。

また、1対1のカウンセリングだけでなく、グループ対話も効果的でした。
人は、自分で思うほど自分の可能性を理解できておらず、自分ではこんなことは無理に決まっていると思っていたことも、他の人が躊躇せずにやっている様子を知って自分の思い込みに気づいたり、人から思いもよらない点を評価してもらい強みに気づいたりということを経験して自己認識が変わっていきます。

自己認識が変わり、キャリアの可能性が増えてくると、自分の生かし方が見えてきます。

キャリアのことは、一人で考えず、他者の力を借りて考えることが有効なのだなと感じさせられました。

たとえ同じ会社にいても仕事はどんどん変わっていく時代です。

会社はもはや、社員全員に、自分のキャリアを自身で考えることを責務であると捉えて、考えてもらう場を提供していく必要があるのかもしれません。

また来月もよろしくお願いします!

2023/11/26 VOL155                             sakaguchi yuto

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