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個人事業主はなぜ夢中に仕事ができるのか

昨年春、私の妻が個人事業主として開業をしました。

産休、育休中にコーチングのスクールに通って資格を取得し、
企業の人材育成、個人のキャリア開発等のコーチング事業を行っています。

これまでも会社員として、会社のビジョンに共感し、素敵な同僚にも恵まれ、大変なことも当然ありつつも、総じて会社に愛着を持ち、楽しそうに仕事をしている様子でした。

一方で、独立してからは、また違った様子だなとそばで見ていて感じます。

これまでは仕事から戻ると、家事育児が終わった後は仕事から離れて、好きなテレビを見たり、趣味に勤しんだりしていたのですが、起業した今は、子どもを寝かしつけた後も、休日も、時間が空けばすぐに事業のことを考え、新しいサービスや企画を考えたり、仕事の取引相手とSNSで連絡をとったりと四六時中仕事に没頭しています。

夜、私が仕事を終えて外出先から戻ると、

「今日はこんなことを思った」
「こんなことをやってみたいけどどう思う?」
「今回新しい企画をやったらこんな反応だった」

などと熱心に日々の仕事の進捗を伝えてくることも増えました。

このように仕事一色なのは、まだそれほど稼げていないからということもあるとは思いますが、そのプレッシャーを感じて追い立てられながらやっているというよりも、夢中で没頭しているように感じています。

妻は何が変わったのでしょうか。

私が思うに、決定的に変わったのは「与えられた役割」として仕事をするのではなく、完全に自分で考えて100%自分の主体性のもとで仕事をやっているということではないでしょうか。

独立してからの妻は、自分で何をするかを考え、こうしたらいいんじゃないかと仕事を自分の裁量で工夫し、実際に試して反応を得るという一連のプロセスに充実感と手ごたえを感じているように思います。

私たちは努力をした結果、売上が上がったり、お客様や上司に評価されたりという「成果」が出るとやりがいが持てると考えがちです。そのようなやりがいは成果に対するご褒美のようなもので、外的な報酬と言えます。

一方で、自分の裁量で、納得感や信念があることを試せているとき、その機会を得ているというプロセス自体がやりがいをもたらしてくれます。

まるで趣味のように好きなことに没頭するときのそれに似ています。
それは、仕事の主導権を上司や会社から自分のものに取り戻すということなのかもしれません。

多くの会社では今社員のエンゲージメントを高めることに腐心しています。
主体性をもって、やりがいをもって会社で働いてもらうためとして、職場環境や給与待遇などを充実させたり、貢献や成果を正当に評価する体制を整備したりという施策を打つことも大事です。しかし、そのような報酬だけではなく、仕事そのもののプロセスに面白みを感じてもらうような方向性が本質的に大事であると思います。

会社員であっても、やりがいをもって働いている人をみると、結果を出して評価や信頼を得ているからというだけでなく、その先に自分の主張が通りやすい環境を得たり、やり方を任せられていることが実現できていて、そのことによって自分らしさを確保できていることが充実感を高めている、むしろ、それこそがやりがいの源泉になっていることが多いように思います。

そのような働き方が実現できていると、起業した妻のように、仕事にオーナーシップを持ち、やらされ感なく没頭できる状態になっていきます。外的な報酬とプロセス自体のやりがいとが両方うまく回っている状態です。

このような状態をどうつくるのかが、人事の方や経営者の方の工夫のしどころだと思います。

よくあるのは成果を出して昇進しない限り、本人の裁量は得られないという状態になっている組織です。このような組織では、もしかしたら個々人の能力が発揮できていない、それゆえに成果につながりにくいということも起きている可能性があるかもしれません。外的な報酬とプロセス自体のやりがい、この2つの軸を観点に持ちながら、組織をよく観察して打ち手をうっていきたいものです。

また来月もよろしくお願いします!

2022/1/29 VOL135                                                                                             sakaguchi yuto


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