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評価制度をなくすことの可能性について

皆様の会社では人事評価はどのようにやっておられますか?

エム・アイ・アソシエイツが書いた「人事評価はもういらない」という本が私の周りで話題です。

いわく、評価制度を最近やめる会社が出てきており、その背景には何があるかということについて書かれていて、とても興味深いです。

一般的に評価制度というと、いかに問題社員を管理するか、従業員にパフォーマンスを出してもらうか、あるいは皆に納得してもらえるかという思想で設計されていることが多いように思います。

しかし、この発想で評価制度を充実させても、思ったような成果が得られないケースが多いようです。

本でも触れられていますが、人事評価は評価のよい人からはあまり不満が出ることはありません。しかし、そうでない人からは常に不満が出るということがなかなか解決されませんでした。

もちろん、それを問題とは考えないというのも一つの選択肢です。

評価に納得しない人が不満を言い、ひいては改善を拒み、居心地が悪くなって退社してしまってもしょうがない。むしろよい人材だけが残っていくのでよいという考え方です。

基準を明確にし、その基準で人を判定していくということは、会社として望ましい行動内容を明示し、社内に規範として周知していくことができます。

しかし一方で、評価制度によって、社員のパフォーマンスを上げていくということこそが目的だと考えたならば、

評価の高くない人材の行動や意識が変容することにこそ、もっとも評価の意味があるとも言えます。

その点ではこれまでの制度では十分な効果が出せていなかった部分があるのも確かです。

では、評価制度をなくすとは何を意味するのでしょうか。

私はそこに、コミュニケーションを高めることでパフォーマンスを上げていこうという考え方があるのだなと感じました。

これまでのように、たとえば3か月に1回、半年に1回くらいの頻度で、思い出したように面談を行って一方的に意思を通達しても、なかなか社員には響きません。

であれば、思い切って評価制度を廃止して、お互いの日ごろからの対話を重視していく方向にシフトしようということなのではないでしょうか。

※ちなみにここでは報酬制度とは切り離して考えられています。評価制度をなくしてしまうことで報酬の納得感がなくならないよう分けて考える必要があります。

企業が生産性や競争力を向上させていくためには、社員が力強くその能力を発揮していくことが何よりも大事です。

そう考えたときに、年に数回評価することでその力を持ち上げようとするのではなく、ともに横に並んで伴走するということなのだと思います。

その時に、必要なのは評価者、被評価者という関係性を外し、評価者である上司は、被評価者である部下の支援者となるというマインドセットです。

どんな社員であっても個人個人のパフォーマンスが現状より伸びていくという発想で仕事に取り組むことができれば、会社全体の力が上がっていくということも期待できるのではないでしょうか。

また、評価をなくすことで得られる大きなメリットとして、私は社員が評価者の顔を見て仕事をしなくなるということがあるように思います。

上司に評価されるためであるとか、評価基準にあわせにいくような働き方をしてしまうことは組織の中で意外と多いものです。そうなると、本質的に何が大事かという議論が置き去りにされたり、これまでと違う意見が出てこなかったりということがあるように思います。

その点でも評価制度をなくすことは大きな可能性を持っているのではないでしょうか。

また来月もよろしくお願いいたします!

2017/1/29 VOL79
 sakaguchi yuto


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