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92.日曜日にホットファッジサンデーを食べる

ホットファッジサンデーが食べてみたかった。アメリカンな見た目に惹かれた。赤いチェリーがかわいい。そして、それを食べるのは日曜日であるべきだと思った。

はじめて食べるホットファッジサンデー。あたたかなチョコレートをかける。

美味しい。想像以上に美味しい。チョコレートがチョコソースではなく、溶かしたチョコレートという感じ。アイスクリームもきちんとアイスクリームで、チョコレートとバニラの味がする。ナッツは香ばしく、バナナは新鮮で、なかに入っている砕いたビスケットはサクサクで香りが良い。すべてが、こうあるべき、というバランス。シンプルだけれど幸せになれる味。

気分が沈むことがあった。好みではない異性とご飯を食べて、適当に歩いたこと。私は誘われれば1回目は断らない。なのだけれど、はじめて、断れば良かったと思ってしまった。これは性別問わないけれど、好みでない相手と過ごすのは本当に苦痛。

相手から誘って会いに来たにも関わらず、何をしたいか、どこに行きたいか、何を見たいかを何一つ考えずに現れた。私にはちょっと信じられなかった。そして、何を食べたいかと問われ、パスタが食べたいと答えたのに全く斟酌されなかった。

結局どこに行くかを決めたのも私だった(肌寒いなか、その人と当てもなくふらふらするのは耐えられなかった)。余程、走って逃げかえろうかと思った。

途中で、感じの良いカフェでおいしいスイーツを食べたのだが、そのとき頭に浮かんだのはもちろん別の女の子や男の子だ。あの人とこれを一緒に食べたい、と。

もちろん悪いのは相手ではなく、私自身だ。きちんと考え判断しなかったからだ。想像力が足りなかったからだ。

家に逃げ帰ったあと、久しぶりにひどく落ち込んだ。これでは素敵な日曜日を迎えることはできないと思い、夜遅い時間帯にロイヤルホストへ駆け込んだ。

店内は少し混んでいたが、年齢層が高く、ちょうど良い騒がしさだった。ホットファッジサンデーと迷って、ヨーグルトジャーマニーを食べた。なぜならその日はまだ土曜日だったから。それに、食べたことのないものを食べてみたい。

甘いものを食べて、カフェラテを飲んで(夜遅くに!)、ついでに紅茶も飲んで、本を読んで、周りを観察して、なんとか回復することができた。日曜日を迎えられた。