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“美しく”勝つ

高校サッカーの試合を観ていると、上がってくるチームには各々のカラーを感じる。それをつくっているのは監督だろう。


お正月明けから高校サッカーの監督たちの本を読み漁った。

中でも印象的だったのは、元静岡学園監督の井田勝通さん。彼は著書で「美しく勝ちたい」と唱えている。

サッカーというのは、美しく、華麗で、かつ芸術的でなければならない。
自分のテクニックとアイディアで自由奔放にプレーしながら相手を翻弄して、勝ちにこだわらずに自然と勝ってしまうようなサッカー
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サッカーというスポーツをやっている以上、「勝つこと」は皆掲げる目標だ。これは大前提で、チームが「どうあるべき」でそれらを「どのように」達成するのか、という部分が本来はそれぞれに存在するのだ。


これは我々が勤める企業にも共通すると感じた。
「利益をあげること」は企業活動の意味としてわかりやすいが、それぞれにミッションやビジョン、理念が存在する。

大学生のころに学んだドラッカーも言っていたが、企業とは‘営利を目的とする組織’と考えがちだけれどそうではない。ミッションやビジョン、理念の実現が目的である。利益とは結果なので、それのためだけに企業活動を行うわけではない。



高校サッカーでもミッションやビジョン、理念、そして監督の哲学があるうえで
それが達成された結果としての「勝ち」なのではないかと最近考えている。

また、わたしはビジネスパーソンとしてのそんな考え方があるからなのか、勝つことだけを目指すサッカーよりも、哲学のあるサッカーのほうが好きだ。



もちろん結果の部分は捨てて良いかというとそうではない。企業は利益がないと経営が立ち行かなくなってしまう。


とはいえ、社会人になって企業活動を経験してみると、実際のところはこのバランス感が非常に難しい。

四半期目標に奔走している自分は「ビジョンやミッションを実現した結果としての利益」になっているのかと言われると微妙なところだ…。そりゃあまりに逸れたことはやっていないけれども。
やはり机上でドラッカーを学んでいたころほど甘くはない。



その微妙な部分や難しさがわかるほど、各々の監督がどのような哲学を持って、それをどのように組織に浸透させて達成させるのか。非常に興味深いのだ。



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視点は変わるが、就職活動における企業選びの考え方も高校サッカーに通ずると感じる。


たくさんある企業の見方は「良いか悪いか」でも「正しいか正しくないか」でもなく、「自分と合うか合わないか」である。

不合格とされても人としての価値を否定されたのではなく、その企業とは「合わなかった」それだけなのだ。



いろんな高校のいろんな監督たちが、それぞれにいろんな考え方を持っているが、それも良し悪しや正しさなんかではない。

また、そのチームに合うか合わないかという視点が重要なのだろうと感じる。


サッカー未経験者のわたしだけれど、「合うか合わないか」という視点を抜かして、選手としての価値を否定されたのだと錯覚してほしくないなと老婆心ながら思う。




もっと言うと、そもそも「ビジョンやミッションをしっかりと掲げているか」が大前提で大切だ。

ふわっとさせていて何を言っているのかよくわからない企業は要注意 だということは就職活動を通して学んだことのひとつ笑



しっかりビジョンやミッションを持っていて、それを表現して、さらに貫いているということがもう大拍手だ。
これも高校サッカーに惹かれる理由のひとつである。

俺自身だって、「理想を捨てて、ただ蹴って走るサッカーに戻そうか」と悩んだことも1度や2度ではなかった。
繰り返し迷いながらも、結局のところ、理想のサッカーを曲げることは決してなかった。
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