チェルシー_トッテナム

「結果を出ないときは、やり方を変えられるチャンス」チェルシーvsトッテナム マッチレビュー

18-19シーズンプレミアリーグ第13節、チェルシーvsトッテナムの試合は1-3でトッテナムが勝利しました。

スターティングメンバーはこちらです。

初黒星を喫したチェルシーですが、むしろなぜここまで負けていなかったのか不思議なほどの快進撃でした。サポーターにとっては苦しい敗北でしたが、シーズン1年を通して考えた時にこのタイミングでの敗北はやり方を変えるにはベストであったと僕は思います。

では、今節は以下の3本立てで行きます。

①チェルシーの長所を全消ししたトッテナム
②ジョルジーニョを囮に使えないチェルシー
③完敗した今が、やり方を変えられるチャンス


①チェルシーの長所を全消ししたトッテナム


この試合のトッテナムは素晴らしい出来でした。
素晴らしい出来だったのは、選手はもちろんのことながらスタッフも同じです。この試合に向けて、これまでのサッリ・チェルシーの試合を血眼になって観察したのが、試合を見ていても伝わってきました。

タイトルにも書いたので、僕がこれまで見てきて感じたチェルシーの長所と短所を順序立てて書こうと思います。

◎長所
1.CB2人とジョルジーニョによる縦パスor高取りのアロンソに中距離パス

2.1.アザール&ジルーの質的優位orモラタの裏抜けを使って中央を突破

2.2.左サイド(アロンソ・アザール・コバチ)で密集を作って相手の意識と配置を左サイドに集中させて、逆サイドからウィリアンの背後抜け

3.ボールを失っても密集しているのでハイプレス可能&かわされても右サイドのカバー(アスピリクエタ・カンテ)で対応

チェルシーはスタメンで出ている選手たちの役割が明確です。 
・ビルドアップは中央三角形の3人。
・バイタルまでの侵入は左サイド。
・右サイドは裏抜けと、守備のカバーリング。
11人でチームとしてのバランスを保てているので、これまでプレミアリーグで12戦無敗で戦えてきたと思います。

トッテナムはこの長所と役割分担の明確な部分を的確に潰してきました。
チェルシーの
1.CB2人とジョルジーニョによる縦パスor高取りのアロンソに中距離パスを潰すために、フォーメーションを「4-3-1-2」に変更して中央の3人にマンマークをしました。

こちらの動画のようなシーンが前半20分まで大量に発生していました。ボール奪取後は高い位置を取っているアロンソの裏を、ソンフンミンとケインが執拗に狙い続けました。1点目と3点目はアロンソの裏を突かれた失点だったのも偶然ではありません。

真ん中からのビルドアップを防がれたので、アロンソを使って真ん中を空けようとしたらアロンソの裏を使われまくるので、アロンソの立ち位置は下がります。

左から攻められないので右からボールを運ぶたいのですが、右サイドの役割は「カバーリングと裏抜け」であり、ビルドアップが得意な選手がいないのでトッテナムの守備にひっかり続けて、カンテがいないスペースからカウンターを喰らい続けて2失点目。

追いつくにもビルドアップがうまくいっていないので、アザールとモラタにはほとんどボールが入らない。という完全な悪循環にハマって機能不全を引き起こしました。

僕はトッテナムがここまで徹底的に研究し尽くしてチェルシーに手も足も出させない準備をしたことはもちろん、トッテナムの選手の強みも極力まで引き出すために配置も上手に変えて戦ったことが素晴らしいと思いました。スタッフからすれば「スペースがある中でのソンフンミンvsジョルジーニョ」というあまりにも残酷な1on1を作り出して3点目を取ったシーンなんかは、ニヤケが止まらないんじゃないかと思いました。


②ジョルジーニョを囮に使えないチェルシー


①ではチェルシーの長所について言及しましたが、②では短所についても触れたいと思います。

◎短所
1.中央の三角形(ジョルジーニョ、ルイス、リュディガー)以外のボール回しのテンポが悪い。

2.スペースと自分たちの配置を意識しすぎるあまり、相手を見ながら逆と背中を取る意識がある選手が少ない。

3.CB間、CB-SB間、ジョルジーニョ脇のスペースを容易に与える。

4.守→攻の切り替え後の3本目以内のパスを奪う確率が低い。

ここ数日の試合を見ていると、1と2が原因でボールを奪われる機会が増えて3と4の課題が顕在化し、トッテナムは3と4に自チームのストロングポイントをぶつけて叩き潰してきた、といった形です。

問題なのは、ジョルジーニョを消された時のビルドアップです。今のチェルシーの問題は、2018年ロシアW杯のドイツと似ているのではないかと思います。自分の役割が明確であること、立つべきポジションと攻略したいスペースが決まっていることはメリットかもしれませんが、サッカーは相手が付き物であって、それを理解された以上はすぐ対策をされてしまいます。

サッリはいろんなテストをしています。
ジョルジーニョが対策をされているのならジョルジーニョをピッチの外へ出そうだとか、アザールを一番前に置いたら前にもう1つ起点が出来るのではないかとか、細かいことを言えば選手間の距離もちょこまか変えていたりします。

このnoteをいつも読んでくださってる方は分かると思いますが、僕は
2.スペースと自分たちの配置を意識しすぎるあまり、相手を見ながら逆と背中を取る意識がある選手が少ない。この問題を個々の選手が改善するためにトレーニングすることが1番大事だと思います。

もちろん時間はかかりますし、個人戦術の問題なのでなんとも言えません。ただ、今の主軸メンバー(アロンソ、ルイス、ジョルジーニョ)を使う以上、3と4の問題はどのチームにも狙われます。1と2の問題を解決するために、選手個々人が練習から取り組んでほしいと切に願っています。

特にカンテ、コバチ、ウィリアン。この3人に上記の努力をしてもらわないと、資金力のあるチェルシーでスタメンで出続けるのは厳しいと僕は思います。今後に期待します。


③完敗した今が、やり方を変えられるチャンス


数時間後にはフラムとの試合があります。
ロンドンダービーであること、ラニエリ新監督を迎えたこともあり、一筋縄では行かない難しい試合になると思いますが、僕は「それをやるのか!」といった新しいチャレンジを見たいです。思い切って1人だけ若手を入れてみるとか、そういったバランスが崩れる采配をして欲しいなあなんて、思ってます。今日は僕も生で試合を観戦できるので楽しみにしたいと思います。


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