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採用担当者が考える、"素直さ"とは何か


はじめに

ご覧いただきありがとうございます!
株式会社M&Aクラウドで人事をしている仙波です。

今回は、ロングセラーを読み返そうというきっかけで『道をひらく』を読み、書籍内で多用されていた「素直さ」という言葉について考えてみました。
松下幸之助先生の文章は時代を超えて気づきを得られる金言で溢れているので、シェアさせていただければと思います。

素直に生きる

まず最初に、私が読んで刺さった章を1つシェアします。

逆境ーそれはその人に与えられた尊い試練であり、この境涯にきたえられてきた人はまことに強靭である。古来、偉大なる人は、逆境にもまれながらも、不屈の精神で生き抜いた経験を数多く持っている。まことに逆境は尊い。だが、これを尊ぶあまりに、これにとらわれ、逆境でなければ人間が完成しないと思い込むことは、一種の偏見ではなかろうか。

逆境は尊い。しかしまた順境も尊い。要は逆境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に生きることである、謙虚の心を忘れぬことである。素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境は自惚れを生む。逆境、順境そのいずれをも問わぬ。それはそのときのその人に与えられた一つの運命である。その境涯に素直に生きるがよい。

素直さは人を強く正しく聡明にする。逆境に素直に生き抜いてきた人、順境に素直に伸びてきた人その道程は異なっても、同じ強さと正しさと聡明さを持つ。おたがいに、とらわれることなく、甘えることなく、素直にその境涯に生きてゆきたいとおもうものである。

『道をひらく』P12-13 素直に生きる

数年ぶりに読んだのですが、当時は学生だったため、社会人経験を積んでから読み返してみると感じ方が大きく異なりました。特に「素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境は自惚れを生む」という言葉は、ある時期の自分のことを言われているようで、ぶっ刺さりました。

"素直さ"とは何か

さて、ここで本記事のテーマである"素直さ"を取り上げようと思います。上記の松下幸之助先生の言葉でも重要なものとして語られていたり、採用、育成、マネジメントなど現代の企業においても頻出のワードですが、意外とちゃんと考えたことがないのではないでしょうか?


~もしよければ、一度この先を読む前に考えてみて下さい~


私は上記の問いに対して、「目的に対して従順であること。そして必要に応じて自身を変容できること」が"素直さ"なのではないかと考えました。

一方、松下幸之助先生は「素直な心(≒素直さ)」を次のように定義しています。

「素直な心とは、寛容にして私心なき心、広く人の教えを受ける心、分を楽しむ心であります。また、静にして動、動にして静の働きのある心、真理に通ずる心であります」。  
お互い人間が最も好ましい生き方を実現していくには、それにふさわしい考え方や行動をすることが大切で、その根底になくてはならないものが「素直な心」であるというわけです。

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さすが、言葉の重みが違いますね。
世の中一般的にイメージされる、体育会系出身で元気が良く、先輩の言うことをしっかり聞いて、一生懸命仕事をするような姿とは違い、もう少し広い概念だと思います。

また、松下幸之助先生は努力次第で「誰もが素直な心になれる」と考えています。著作に『素直な心になるために』がありますが、この本で示されている“素直な心を養うための実践十カ条”は以下の通りです。

1. “まず素直になりたいという強い願いをもち続けること”
2. “たえず自己観照を心がけ、自分自身を客観的に観察し、正すべきを正していくこと”
3. “毎日、自分の行ないを反省して、改めるべきは改めてゆくように心がけること”
4. “素直な心になるということを、日常たえず口に出して唱えあうようにしていくこと”
5. “心して自然と親しみ、大自然の素直な働きに学んでいくこと”
6. “先人の尊い教えにふれ、それに学び、帰依していくこと”
7. “素直な心を養うということ自体を、お互いの常識にすること”
8. “素直な心になることを忘れないための工夫をこらすこと”
9. “お互いそれぞれの素直な心の実践体験の内容を発表しあい、研究しあっていくこと”
10. “お互いに素直な心を養う仲間同士として協力しあっていくこと”

“素直な心を養うための実践十カ条”

素直に生きるためにも、いきなり全部は難しくても、十カ条を意識的に行動に移していくのが良さそうですね。

採用においてなぜ素直さを重要視するのか?

さて、打って変わって実務的な話になりますが、なぜ多くの企業が採用において素直さを重要視するのでしょうか。

もちろん各社ごとに理由や背景は違うかと思いますが、松下幸之助先生の言葉「素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境は自惚れを生む。」を借りるとすれば、素直でない人を採用すると下記のようになってしまうからではないでしょうか。

  • 逆境(≒会社の停滞期、部門や個人の目標未達成期間など)に陥った際に、卑屈(=自分を卑下し、いじける)になり、乗り越えようとしない、また、そんな自分を守る(自己防衛)のために、会社や同僚へ他責する。結果、逆境が継続する。

  • 順境(≒会社の成長期、部門や個人の目標達成期、自分の調整が良い時など)に、自惚れる(実際以上に自分がすぐれていると思い込む)ため、より成長しよう、より良くしようと行動しない。結果、順境を継続できなくなる。

上記はあくまで私の考えなので、各社の経営陣や人事の方々がどのように考えているのか是非聞かせていただきたいと思います。

まとめ

今回は『道をひらく』を読んで感じたこと、身近な採用というものと結び付けて考えてみたことをシェアさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

こういった抽象的な概念は答えがないかつ、自分自身の考え方も日々アップデートしていく必要があるため、私自身も引き続き「素直に」学んでいきたいと思います。

今後も定期的に本の感想や日々の学びをシェアしていく予定ですので、もしよろしければ「スキ」と「フォロー」をしていただければ嬉しいです!!
よろしくお願いします!

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