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中込遊里の日記ナントカ番外編「リヤ王稽古場報告(4)」2019/9/10

2020年2月9日・11日上演の「物狂い音楽劇・リヤ王」に向けて、日々感じたことや思ったことを記そうと思い、書き始める。4回目。

基礎訓練について―観察して整える

私たちに現在必要な基礎訓練は、心身をよく観察し理解すること。無駄な緊張を取り、上手に受容できる体を作ること。

私が外で習ってきた「ボディコンディショニング」という基礎訓練を、数年前から劇団でも行っている。真剣にやると1回につき1時間半はかかる。なので、本番前になるとその時間が取れない。

ボディコンディショニングは文字通り体を整えるといったもので、セルフで行う整体に近い。体の中心を意識し、余計な緊張を取ることができる。とても気持ちがいいのだが、1時間以上本気でやると終わった後疲れが出てぐったりしてしまうというワナもある。

基礎訓練について―重心を意識する

去年の「マクベス」あたりから行いはじめた身体訓練、その名も「ドーパミン」。今日もまた進化を遂げた、鮭スペアレのオリジナル。秘密兵器ともいえる(?)

重心を意識し、身体を音楽や空間に飲み込まれないほどに強度のあるものにするための訓練。汗が一気に出る。

基礎訓練についてー歩く

フェルデンクライス・メソッドを劇団員の宮川が少し学んだらしく、持ち込んだ歩行の方法。

体に負担をかけない楽な歩き方。それを実践してみると、不思議なことに、だんだんと能の摺り足に近い形に見えてきた。

↓鮭スペアレ「コンテンポラリー能・ハムレット」東京公演(ザムザ阿佐谷)より

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シェイクスピアがマンガと相性がいい理由

(トップ画像は手塚治虫「ベニスの商人」より)

中央線で見た大学の中吊り広告に、「日本のマンガ、アニメ、ゲームにはシェイクスピアネタが多い」ということが書かれてあって、まあそうかもな、と思った。

読み合わせをしている時に、「リーガンには子どもいないけど、何歳なんだろうね」「3姉妹年齢こんなに離れてて、ほんとに同じお母さんなの?」などと、キャラクターの年齢の話が出た。

顔の見えない「リヤ王」の登場人物たちのことを想像する。

「エドマンドがこんなにモテるのはなぜなんだろう」「うーん、やっぱりこういう若い男が急に現れると、人妻はグッときちゃうよね…」「ゴナリルはほんと長女の苦しみを背負ってる…」という会話を繰り広げながら、あの中吊り広告を思い出す。

広告とは意味がまったく違うのかもしれないが、「夏の夜の夢」のドタバタ恋愛だったり、リヤ王の姉妹たちの確執だったりを考えていると、「深い想像」から「楽しく妄想」という言葉に近づいていく瞬間があるような気がしてきた。そしてそれは、マンガやアニメの楽しみ方とちょっと近いのかもしれない。要するに「萌え」みたいなもの。

まだ深くは考察していないのだが、「シェイクスピア作品には萌え要素がたくさん含まれている」ことには間違いがないような気がする。

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