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8月の読書 | それはつまり世界を愛したいということ

コロナぶりにうーんと高い熱が出たり、忙しかったりして、ちょっとだけ自分のペースがくずれてしまった8月。夏はもうその暑さを楽しめないくらいの猛烈な暑さで、わたしの大好きな夏はもう戻ってこないのかもしれないと思って落胆した。いつだったか、みいじじとみいばば(祖父と祖母)と浴衣を着て、土手を歩いたあの日のような夕暮れどきをもう一度、味わいたい。わたしはずっと夏を愛したいです。

スマホを置いて旅したら/ふかわりょう

スマホから離れたいというのは、あくまで意思決定は自分で行いたいという願望。画面越しでなく、誰かの目線や価値観を通したものではなく、自分の感覚で実感したい。それはつまり、世界を愛したいということなのかもしれません。

スマホを置いて旅したら/ふかわりょう

旅から帰ってきて、道中の出来事を友人に聞いてもらう。最近は、そんな土産話よりも、旅の間にSNSで発信し、今こんな素敵な場所にいるよと報告するケースが多い気がします。それはしばしば、「共有」という名目で行われますが、そこにはどこか発信者の「誇示」に近いものもあり、「いいなぁ」と羨望の眼差しを向けられることで、旅の充足感に繋げていたり。

スマホを置いて旅したら/ふかわりょう


実際にスマホを置いて(完全にシャットダウンは出来なかった)旅をしてみて、わたしにとっての「今」がどこにあるべきか、どう過ごすべきか、よく分かったように思う。もちろん、ふかわさんもこの本でスマホが悪だと提言したいわけではない。わたしもスマホが悪だとは思わない。今日も、海の向こうの友だちが元気に生活していることを知って安心したし、海の向こうで起きた大地震の悲しいニュースをタイムリーにキャッチしようと画面をのぞき込んだ。ただ、侵入されすぎてはいけない、と思う。自分の領域を守らなければならない。自分自身で。スマホを置いて旅をするふかわさんを「凧の糸が切れたように」と表現する箇所があった。いつもなにかと繋がっていて、いつもなにかと絡まっている。現代人はもっとひとりひとりがほどけたほうが良いのかもしれない。

▼旅の記録

空白を満たしなさい(上)/平野啓一郎

平野さんの小説を。死んだはずの人間が生き返り、自分の死の真相を突き止めていく。劇的で、そしてどこか切ない物語。そしてやはり平野さんのテーマのひとつである『分人主義』の考え方が垣間見える。あり得ないと思いながら読み始めたのに、どこか現実的で、すぐ自分の周りで起きているようなそんな世界に思えてくる。現代社会の問題と忠実に向き合っているからなのかもしれない。9月は下巻を読みます。

竜ちゃんのばかやろう/上島光

何があっても、大切な人を置いていなくなってはならない。いなくならないでほしい。いなくなりたくない。でもいなくなってしまうかもしれない。命とはいつも有限である。愛がどこまでも深く、どこまでも続くとしても。

▼竜ちゃんのばかやろうを読んで考えたこと


Casa BRUTUS 2023年9月号

テーマは「大人も深読みしたい 子どもの本100」。表紙のエルマーの冒険があまりにも可愛いくて、懐かしくて、たまたま立ち寄ったセブンイレブンで即買い。懐かしい1冊がたくさん詰まっていて、改めて読んでみたいなと思う本たち。早速「長くつ下のピッピ」を買いました。大人も子どもも本を読もう。


&Premium  素敵な人になるための読書案内。

これまた表紙のまるちゃんに一目惚れして即買い。中でも『私は、この人の生き方が好きです。』の特集がとても素敵だった。27人のさまざまな価値観をもつ女性が心に響く著書を紹介している。好きな作家さんはもちろん、まだまだ知らない作家さんたちが紹介されていて興味深かった。誰かが薦める本はますます読みたくなる。


さて、9月。読書の秋がやってくる。読みたい本がたくさんストックされているわたしの本棚。逃げていかないから大切に大切に読もう。読むタイミングもきっと大事。いつでも出会いを大切に。8月もたくさん本に救われました。ありがとう。

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