《 鳥取ひとり旅2日目 》湖と喫茶店と

左側を照らされながら本を読む
たくさんの木のおかげで木漏れ日が落ちる

正午、もうすぐここにきて一時間が経とうとしている
きたときから変わらないひとたちがまわりに座っていて、ここの喫茶店は回転率がわるくていいなあと思う。

煌めく水、陽にあたっているとなんだか元気が出る、
机の上で揺れる木漏れ日
ファミレスみたいに広い店内と広い年齢層
こうやって家族や友達と当たり前のように来る場所がチェーン店ではなくまちの喫茶店であることに感動する
ピアスをした若そうな店員さんも、ここで働くのだ、部活生のような中学生もここで喋る。

仲良さそうに名前で呼び合いしゃべる店員さんと常連のおばあちゃん
この前ありがとう〜と話しかけるとおばあちゃんはまたもやカバンの中からビニール袋を取り出し、お姉さんに手渡す
お客さんが店員さんに何かをあげる光景が喫茶店では見る機会が多く、それは素敵なことだと思う。
「お金を払ったから」「客だぞ!」のような単なる消費者ではない感じというか、「店員さん」と「お客さん」の枠を超えて、ちゃんと人同士であるからできることだ、こういうのがいいなあ、ぜんぜん、ビジネスくささがない。

広い駐車場が店前にある、道路沿いの大きな喫茶店。
隣には寂れたビデオ屋さんがあり、それがまたいい味を出していると思う、「フェニックス」と書かれた大きな青い看板

中学生の男の子は立つととても大きかった
ここで育つのだ、私にとっては何もなくて退屈な、このまちで、この喫茶店とともに。

茶髪ピアスの男性店員さんは可愛らしいボーダーのエプロンをつけている。

小さいわけではないのに意識しないと耳に入らない、BGMと小さな時計
ゆっくりと時が進む
「まちのレストラン」という感じの、こだわり抜かれない、誰もが来れる、ありふれた雰囲気がとても良い

おばあさんがひとりですする焼きそばがおいしそう。
おじさんが奥さんと喋りながら食べるナポリタンがおいしそう。

パフェを食べようと思ってきたのに気分じゃなくなり頼んだクリームソーダだったけれど、とってもでかい。ほんとうに460円でいいのだろうか?
鳥取はなにもかも、安すぎると思う。

机に溢れたクリームソーダがグラデーションになっていてきれいだし、その上を木漏れ日が動いていて、あーーーーー!いい時間を過ごしている!

楽しかった、だけどもう鳥取からは帰ろうと思う
鳥取、好きじゃないわけではないのだけれど、好きではないかもしれない。
なぜかわからないけれど好きでたまらないまちと、そんなに心が動かないまちがある、というのはおもしろいことだなあとおもう。

早起きして湖を見た、隣で釣りをしているおじさんと世間話を交わしながら本を読んだ
モーニングを食べた喫茶店から出るとき「行ってらっしゃい!」といままでで一番強い行ってらっしゃいの言葉をもらって不意に元気が出た

「鳥取に住みたいか」と考えると、違うかなあと思いはするけれど、ひとつひとつの思い出はとっても幸福だった

そんなことを考えながら喫茶店「フェニックス」を後にする。