ドスちゃん

ここを私の人生における罪と罰を独白する場とします。

ドスちゃん

ここを私の人生における罪と罰を独白する場とします。

最近の記事

7月30日

7月30日(日) ねじさんとのツーマンを予定していた日だ。何もなければ、友達、彼女、先輩の前で歌い多少ちやほやされる予定だった日だ。こうなってしまってはそれどころではないのだが、申し訳ない気持ちだ。 昨夜は眠れず、今朝は憂鬱な気分で目覚めた。人生に価値を見出せない気分。朝日はやたらとキレイに差し込んでいた。掃除機をかけて点呼を待つ。呼吸を整える。2016年に出た長友のヨガ本を借りて読んでいたのでそれの真似をする。呼吸に意識を集中させる。難しい。 朝食を食べ本を読む。養老孟司の

    • 7月29日

      7月29日(土) 昨夜は地検に行って疲れていた事もあり、わりかしよく眠れた。 外は晴れているが、土日は外気に触れる機会がない。 建物内の中庭のようなほとんど喫煙所みたいなスペースが唯一の外気に触れられる場所だ。と言っても日陰だが。 朝食の後15分ほどその場所で佇んだりヒゲを剃ったり爪を切る事ができる。 『運動の時間』と呼ばれている。 便所サンダルで運動もクソもあるかい。 と毎回思うがその運動の時間が土日は実施されないのだった。 朝からとても憂鬱だった。憂鬱ではない時間などない

      • 7月28日

        7月28日 地検に行った。帰りは18時頃ついた。長く辛かった。地検のパンは美味しい。ヤンキークソガキがかまして来てうざかった。 審尋書が届いた。自分が覚えていない事もあったので相手の供述が読めてよかった。 が本当に疲れた。勘弁してほしい。と思ったが、相手はもっと思っているだろう。 高円寺から出る覚悟はできている。 何も話すことができない相手は俺の残像に苦しみ恐れながら生活している。そうなる事を望んだ自分もいるしかわいそうだと思う自分もいる。こんな子悪党など恐れるに足らず、えー

        • 留置所日記/7月24〜27日

          7月24日 裁判所、18時頃戻る、眠れずに2時、勾留を決める裁判は多くの人を捌くために淡々と早口で進められてあっという間だった。 7月25日 初の一日何もない。朝刊の面白さに気づいた。朝、ねりもの。パン固い。寝れない。夜中歩いて詩を読んだ。弁護士が来た。 7月26日 吉本興業の大崎さんの本が面白かった。お祭りの音が聞こえた。ねりもの。夜、変な魚フライ。朝刊の教育欄を見て自分の情けなさに泣く。 7月27日 友達が初めて面会に来てくれた。弁護士がバイト先に連絡してくれたから

          留置所日記②続き

          そうこうしているうちに正午の昼食の時間になった。 コッペパン2個と小指みたいなプロセスチーズ一つ、いちごジャム、マーガリン、白湯だった。 手錠をかけられたままなのでとても食べづらかった。ジャムを一滴床に落とした。 ムシャムシャと食べ終わってまた無言の無限のシンキングタイムが始まってとうとうケツが痛くなってきた頃、遠くの檻からゴニョゴニョとジジイの声が聞こえてきた。 文句を言ってる感じだな、と思った次の瞬間、『黙れと言ってるだろうがぁー!!』と刑務官の低く恐ろしい罵声が響き渡っ

          留置所日記②続き

          留置所日記②7.23

          7月23日 朝6時半起床。 目が覚めるといつのまにか朝になっていて、俺は恐ろしい籠の中にまだいた。 1番さんは自分の布団をたたんでその上に座って静かに佇んでいた。 飛び起きて真似をして布団をたたみ終わった時、鉄格子の扉が開けられそれぞれ自分の布団を別の部屋へしまいに行った。 そこから戻ると部屋の入り口に掃除機と、雑巾とブラシが入れられたバケツが置かれていた。 1番さんは掃除機を取ると僕にはバケツを持たせた。トイレ掃除のやり方を口頭で一通り教えてもらいやってみたが、裸眼のままだ

          留置所日記②7.23

          留置所日記①続き

          暗黒の夜を永遠に眠れずに過ごしていた頃、 布団から手を伸ばして鉄格子に触れてみた。 縦と横に太い格子状の鉄の棒が走っていて、その上からもっと目が細かいステンレスの網が張られていた。 その網に触れてみてどこかで見た事があると思った。 それは焼き肉屋の網だった。 同居人と行った中野の焼肉屋を思い出した。 酒が飲めない同居人と、肉で酒が飲みたい僕とでは食事にかける時間が違っていた。 定食屋感覚でパクパクと食べ進めるのが気に食わなく、それをあらかじめ僕に指摘されていた同居人は気を

          留置所日記①続き

          留置所日記

          7月22日、午前1時頃 ステンレスの机が真ん中にあり、大人二人がそれを囲めばいっぱいになるような灰色の狭い取調室で担当刑事とチープなワープロを目の前にその日あった事やそこに至るまでのあらゆる事を何度も話した。 余りにも同じ話ばかりさせられるので何かの時間稼ぎでもしているのかと思った。 途中、狭い部屋の空気に気分が悪くなり外の空気を吸いに出ることになった。 真っ暗な夏空は生ぬるくて親近感のある優しい空に思えた。 この時、朝には身柄を解放され、また一人きりの愛すべき怠惰と虚栄

          帰省の途

          2023.10.10 東海道新幹線新大阪行きの窓際5番A席 車窓から大きく見える東京の街が澱みなくするすると後方へ流れて行く。 つい数日前には灰色のカーテンで締め切られた暗く固い護送車に乗っていた事を思い出すと、人生に鬱屈とした翳りを自らの手で薄い幕のようにかけて見える気がした。 浅はかな快楽に似た自己憐憫を引き連れた懐古とは対照的に規則的に整然と立ち並ぶ四角い東京の街並みはどこまでも理論的で美しかった。 護送車ではカーテンの隙間からわずかに見えるだけの景色を親鳥の帰宅

          はじめに

          あなたの人生を一言で表すならば何ですか。 と裁判官は尋ねた。 私は傲慢な人生でしたと答えた。 すると裁判官は表情の無いままそれを否定するまでもなくただ言い足りない何かを総括するように断定を込めた語勢で 『あなたの人生は自己中心的です。』と言い放った。 私はその通りです。と答えながらついに言われるまでもなくこれまで自ら実現し続けた傲慢で軽薄な自己中心的人生に司法のお墨付きが着いてしまったか。 などと心の中でその重みをなるべく軽い物に工作しようと見苦しく試みてはほくそ笑んでみるの