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学びのシェアNo.4~”先生の裁量権”の実態~

Moi!

先週末はタンペレに行ってきました!

タンペレ、ほんとに素敵すぎて、すでにまた行きたい気分。(カバー写真はタンペレで撮れたイイ写です。笑)

タンペレについては、こんな記事も書いてみたので、興味のある方はぜひチェックしてみてください!


ということで、ここからが本題です!




先生の裁量権とは

フィンランドの教育について話を聞いたり、学んだりしたことがある人なら、その特徴として、”先生の裁量権が大きい” ということを耳にしたことがあるのではないでしょうか。

先生の裁量権とは、要は学校で先生として働く上で、どれだけのことが”すべきこと”として決められていて、逆にどれだけのことを先生自身で決められるのか、ということ。


よく先生の裁量権が大きいことの例として見かけるのは、”教科書の選択” です。

日本では、教科書検定をクリアした教科書の中から、学校ごとに利用する教科書を決めます。先生は補助教材として他のものを付け足して使うことはあるものの、基本的には学校で決めた教科書に沿って授業を進めていきます。

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けれど、フィンランドではなんと、”先生が使う教科書を自由に決められる” というのです。たしかに、先生の裁量権は大きいように感じます。


果たして実態はどうなのかというと、、、




先生の裁量権の実態 ~教科書について~

教科書のことについていえば、”意外と制約があるな” と言うのが自分の感覚です。

というのも、たしかにフィンランドでは、数年前に教科書検定の制度は廃止されたので選択肢は広いのですが、自分のお世話になっている学校では学校全体で使う教科書を統一しています。

それもそのはず、学年が上がるにつれて使う教科書がころころ変わっていたら学ぶ内容の接続が大変ですし。

それに、特に英語や算数は、自分の学校で使っている教科書には専用のインターネット教材が付属しているので、その利用権限の許可の関係で、統一されている方がなにかと都合がいいのです。


けれど、どの内容から順番にやるか、どこに時間をかけてどこをスピーディーにやっていくのか、ネット教材を使うのか使わないのか、といった ”どう使っていくのか” といったことは、実際に各先生たちに委ねられています。




先生の裁量権の実態 ~クラス運営について~

教科書については、裁量権の大きさはあまり感じませんでしたが、異なる点ではその大きさを実感しました。

それは、先生のクラス運営についてです。


フィンランドの学校のカリキュラムには、日本でいう「学級活動」「総合的な学習の時間」や「朝の会」「帰りの会」「掃除の時間」にあたるものが、それ専用の時間としては設定されていません。だからといって、そういった活動がないわけでもないんです


ある先生は、"Student of the week"と題し、毎週水曜日、クラスの内の一人が自分の好きなことについてOne Noteにまとめ、それをクラスのみんなで読んだり、コメントしたりするという活動をしています。

またある先生は、毎日、朝一番にクラス全体でミーティングを行い、クラスでのルールを決めたり、クラスでやりたいことについて話し合ったりしています。

これらは(全部が全部ではないけれど)子どもたちが自分たちでやると決めたことなんです。

そして肝心なのは、それを普段の授業、つまり算数とか国語とかの時間の中に”組み込める”ということ

ここに自分は、先生の裁量権の大きさを感じました。



また、担任の先生が時間割を柔軟に変えられるというのも、先生の裁量権が大きいと言える部分だと思います。

その例として、自分の入っているクラスの先生は時間割を変更することが多々あります。

「いつもは理科は4時間目だけど、今日は実験やるから時間に余裕がある3時間目にやるね。」

「明日の5時間目は保護者の方と面談するから、いつもの体育は3時間目に変更ね。5時間目は、代行の先生に来てもらえることになってるから、算数のネット教材をやるように伝えて。」

とか。

かなり柔軟に、その時々のシチュエーションに合わせて、授業を入れ替えたりします。




先生の裁量権は日本と大きく違うのか?

ここまで見てきて、思いました。

「こういった先生の裁量って、日本でもやろうと思えばできるんじゃない?」

教科書は学校指定の物だけど、その中からどんな順番で、どれを丁寧に、どれを素早く教えていくかを先生が決める

とか

Student of the week や ミーティング のような、クラスできめた独自の活動をする

とか

授業の内容やそのほかにやらなければいけないことを勘案して時間割を柔軟に入れ替える

とか

実際、どれも日本の先生やってません??



なのに、なぜ自分はフィンランドの学校で先生の裁量権の大きさを感じたのか?



それはおそらく、日本でも同様のことはやっていことにはやっているが、フィンランドの方がはるかに柔軟だから、だと思います。


日本の先生はそういった取り組みが禁止されているわけではないですが、実際には他にやるべきことが多すぎて、そこまで柔軟にはやりくりできないという実態があるのではないでしょうか。

学ぶ内容が多すぎて算数の時間を他のことに割けないし、、、

他の先生に手伝ってもらおうにも、他の先生も忙しそうだし、、、

つまり、日本では、法的に裁量権がそもそも小さいのではなく、環境が先生の裁量権を小さくしてしまっている



一方、フィンランドの自分の学校では、そういったことはあまり感じられません。

それは、先生の裁量権が守られる環境があるからなのではないかと思います。




裁量権を守る環境

では、先生の裁量権が守られる環境とはどんなものなのか

私が感じた、フィンランドの先生の裁量権を守っている環境を2つ紹介します。



<他の先生に代行を頼めるということ>

まず一つ、これがすごく大きいポイントかと思います。

先生の裁量権が大きいがゆえに、先生たちはそれぞれ非常に独立して学級運営をしていますが、だからと言って他の先生に協力しないというわけではないんです。


例えば、自分のクラスで授業がある時間に、他の先生から代行を頼まれたとします。

すると、代行を頼まれた先生は時間割を調整して子どもたちには子供たち自身でできるワークや調べ学習を用意し、自分が自分のクラスを抜けられる時間を作ります。そして、その合間をぬって代行を頼まれたクラスを見るのです。

逆に、代行を頼む側の先生は、自分が直接指示したり授業をしたりできないので、代行を頼む時間の内容を、既習事項の問題演習や調べ学習の続きなど、こちらもまた子供たちが自分で取り組めるものになるよう調整します。

つまり、代行を頼む先生と頼まれる先生がお互いに裁量権を活用して、1人の先生が同時に2つのクラスを見れる状況を作るのです。


こういったことができるため、先生たちは他の先生方に協力してもらいながら、うまく時間を作っていきます。

そして結果的に、先生の裁量権が守られるのです。



<多様な先生が常駐しているということ>

上記のように代行を頼める、という点をポイントにあげましたが、当然みんながみんないつでもうまくやりくりできるわけではありません。


けれど、それをさらに補完できる環境があるのです。

それが、Special Education Teacher, Resource Teacher, Assistantの存在です

フィンランドの学校運営において、彼らの存在はかなり大きな役割を果たしていると思うので、詳しくはまた改めてシェアしようと思いますが、簡単に言ってしまえば、彼らはクラス担任を持たずにサポートを専門にする先生・アシスタントです。

担任の先生は、彼らに代行を頼んだり、授業についていけていない子への補修を任せたりといったこともできるのです。




以上、2つの ”先生が他の先生を頼れる環境” と言うのが、先生たちの裁量権を守る上で自分が特に大事だと感じた環境です。




最後に

最近、日本の学校の先生たちは、日本の教育をよりよくしていこうと、積極的に挑戦しているなあと感じています。

だからこそ、そんな先生たちが挑戦できる環境が必要だと思うんです。

その上で、このフィンランドの光景がその一助となり得るのではないでしょうか。



ということで、今回は、自分が感じた先生たちの裁量権を守る環境にスポットをあてて、シェアさせていただきました。



意見・疑問・見てきてほしいことなどあれば、どんどん連絡をください!

それが自分にとっても、学びの質の向上につながると思いますので!!

お待ちしております!


Moi Moi!

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