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堺 アルフォンス・ミュシャ館へ

それほど遠くはないのに、
ずっと行きそびれていた
「堺 アルフォンス・ミュシャ館」を
先日ついに訪れた。
大都会ではないにもかかわらず
世界有数のミュシャ・コレクションを
目にすることができる美術館であり、
年3回の企画展が催され、テーマに
沿って作品の展示替えが行われている。
今回の企画は、8月5日から始まり、
「モラヴィアン・ドリーム」と題されていて、
ミュシャの祖国チェコへの想いが感じられる
作品と、プラハ在住日本人人形作家の
林由未さんの人形とのコラボ展示である。

それほど広い美術館ではないけれど、
ミュシャの絵は細かく描きこまれているので
じっくり見ていると、1時間以上は必要だった。
この日は運よく、学芸員さんによる解説ツアーが
あり、ミュシャ本人や作品についてのお話を
興味深く聞かせていただけた。
ミュシャと言えば、他の美術館でもポストカードは
よく見かけていて、何枚か買い求めたことがあり、
優雅でエレガントな女性の印象に惹かれていた。
この美術館では、大きなポスターや油絵なども
見ることができて、ポストカードではわからなかった
魅力に触れ、ミュシャの世界をより深く
知ることができてよかった。

また絵に関連して、チェコの民族衣装も
展示されていて、これは、国立民俗博物館から
貸し出されたそうである。
一部の作品は写真撮影OKで、この衣装もそうだった。
繊細で可愛い刺繍のモチーフに見入ってしまった。

この巨大な鏡を囲むように描かれている絵も
幻想的で美しく圧倒的だった。

ショップで買い求めたポストカードの絵も
展示されていた。それぞれに、音楽、絵画
ダンス、詩という芸術を表現して描かれたそうで
素晴らしかった。

他に、四季が表現された4枚の絵も気に入った。
ミュシャと親交があったフランス女優
サラ・ベルナールを描いたほぼ等身大のポスターも
素晴らしかった。
パリで活躍していたミュシャであったが、
フランスでは、祖国チェコについてはあまり
知られていないことを残念に思っていて、
ミュシャ自身が民族衣装を来ていたり、
作品にもスラブ民族の特徴が表現されていたり
して、作品の中に美しさだけでなく
凛とした精神も見出すことができた。
スラブの国々は昔から他国による侵略を受け
危機や困難を経験してきた。それ故に
民族の精神や文化を大切に引き継いでいきたいと
いう思いが強いのだろう。スラブの国と言えば
東欧だけでなくロシアやウクライナもそうである。

今の日本はどうだろうか。
先の戦争以後、他国の指導により教育が変えられ、
民族意識が薄められてきた。
グローバルな視点や国際関係も大事だけれど、
今一度、日本とは日本人とは、立ち返って
考える時が来ていると思う。

話はまた展示に戻って、
チェコ在住の林由未さんの人形も
可愛らしさの中にも凛としたものを感じ
素晴らしかった。
人形が着ている衣装は、ガブリラ・
ブディーコバーさんという衣裳縫製家
によって手掛けられ、林さんの人形に
よく似合っている。

また、映像ではミュシャの「スラブ叙事詩」も
紹介されていて、大作を垣間見ることができて
よかった。

別の階に移り、そこでは雰囲気が一変して、
人形のファンタジーの世界を楽しめた。
こちらは、過去に飾られていた
大阪梅田の阪急百貨店のクリスマスシーズンの
ショーウィンドーのディスプレーで
林由未さんの作品だったと、この日初めて知った。

クリスマスツリーもあり、まだ残暑の夏なのに
冬のクリスマス気分を味わえて楽しい気持ちに
なれた。このようなヨーロッパ風のディスプレーは
なぜか懐かしいと感じてしまう。

他にもこのようなファンタジーの世界が。

見終わってから、駅の近くの「本と珈琲」という
カフェでオムライスを食べて、美味しかった。
お店の名前にあるように、書店と隣接していて、
静かにくつろげるカフェでよかった。


今回の企画は11月26日まで開催されているので、
11月に行くとよりクリスマスが近くて
楽しめると思います。

「堺 アルフォンス・ミュシャ館」のHP



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