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文字式に対する価値観を活用する ~同類項の学習において~


1 授業の導入において

 中学2年生では、文字式に含まれる文字の種類が増えることは、以前の記事で述べました。

 では、生徒にこのような式を見せたら、どんな反応をするでしょうか?

生徒に提示する文字式

 おそらく、生徒のこれまでの取り扱ってきた文字式の経験から、こんな反応をするのではないでしょうか?

図1 生徒の反応

 このような反応が返ってきてくれると、「よし!!」です。

2 文字式に対する価値観と原動力

 「式が長い」と感じているということは、「短くしたい」という動機付けにつながります。また、そう感じているということは、生徒の中に、式は短い方がよい(簡潔さ)という価値観があるということです。これは、学習指導要領にも、次のように記載されています。

文字や文字式を用いることによって,数量やその関係を簡潔・明瞭に,しかも一 般的に表現することができる。

中学校学習指導要領解説 数学編より引用
図2 生徒の発言と、その裏にある価値観

 短くしたいのであれば、どうすればいいか問えばいいですね。
 中学1年生で、文字が1種類の文字式を扱っていますので、文字式同士、数同士が計算できることを知っています。この考え方を利用して、最初に提示した長い文字式を簡単にできないか考えさせればいいですね。
 このようにして、式を簡単にするには、式のどの部分を見ればよいかが分かります。そのあとに、数学の用語「同類項」の定義を説明すると、用語の意味も理解できます。

図3 復習で文字式の計算過程を確認する

3 おわりに

 生徒は、授業で学ぶまでに様々な既習知識をもっています。それは学校で学んだ知識だけではなく、日常生活での経験から学んでいる知識も含みます。
 生徒の既習知識に合わせ、なおかつ系統性をもった授業をしていきたいです。
 前回の授業と本時のどこがちがうのか、どうつながっているのか、どんな新しい見方や考え方を学んでいるのか。
 生徒がそれを実感、理解できる授業を目指していきたいと思います。逆に、生徒がそれを実感できない授業は、教師の授業研究不足ではないかと思います。もちろん、多忙な中での授業研究なので、1人でするには限界があります。同僚の先生たちと、あーでもない、こうでもない、と議論しながら授業研究していけば、多角的に授業構想できるのではないかと思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

・ 引用文献

中学校学習指導要領解説 数学編 平成29年度告示,文部科学省

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