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本物に会いに行きたくなる『妄想美術館』(原田マハ・ヤマザキマリ)

「カフーを待ちわびて」を読んで以来、好きな作家さんになった、原田マハさん。

今回は、早稲田大学第二文学部美術史科卒業・森ビル森美術館設立準備室・ニューヨーク近代美術館勤務という経歴の原田マハさんと、『テルマエ・ロマエ』の作者であり、イタリア芸術に造詣の深いヤマザキマリさんとの対談形式での一冊です。

・30歳で社会人受験をし、美術を学び世界中の美術館を訪れるようになった原田マハさん。

・カトリック教徒で、モナ・リザのレプリカが飾ってあるような家で育ち、14歳のときにはフランスとドイツに本物の美術館を見てきなさいと母親に送り出されるような環境で育ったヤマザキマリさん。

アートを溺愛するお二人が、各々アートに関わってきた生い立ちからお互いの好きな美術館について話が進んでいきます。

個人的にも美術館は大好きで、貧乏バックパッカーをしていたころに訪れたことのある所の名前が本の中にも出てきて、なつかしく思いました。(また旅に出たい!)

その絵が描かれた時代背景や、作家の性格、意図などをお二人のように汲み取れたらより高尚な楽しみ方ができるんだろうなぁ。

そう思えるようになったのは、残念なことに、年齢を重ねて海外に行く時間がなくなってからのことです。

アートは心の目でみるものだ!
難しいことなんて考える必要ない!


なんて、感覚・直感型で楽しんできた自分を擁護するためにも、そう言いたくなります(笑)

(マリさん)
作品だって、小説だって、つくり手の熱意が伝わらないとダメなんです。

p.138より抜粋

熱意を感じるのはハートですよね?
なんて。

(マリさん)
美術でも音楽でも創作を生業とし、面白いものをつくる人には社会性なんてもてないマニアックな暴走者が多い。

p.182より抜粋

おにぎりの型のように、みんなと同じことが正しいことだという教育で育ってきた多くの日本人はマニアックな暴走者にはなりずらい。

社会に出たとたん独自性が求められるなんて、皮肉な話だと大人になって知りました。

本の中で取り上げられた美術館の数は、存在するそのものの数と比べたら一握りかもしれません。

それでも、心の琴線に触れた絵や美術館が一つでもあれば、そこから好奇心の赴くままに、作家や美術館についてより深く知っていくことで、よりアートを楽しめるのではないでしょうか。

マハびいき(敬称略)としては、まだ読んでない作品を通じて、新たなアートの扉が開かれるのが今からとっても楽しみです。



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