鳥のさえずり
耳から伝わる朝。
カーテンからこぼれる光が
瞼の裏を黄色く染める。

ゆっくりと体を起こして
誘われるように窓を開けると

まぶしい緑の結晶と
爽やかに吹き抜ける風。
青空は海原のよう。

体のすべてに
五月が飛びこんでくる。

外に出ると
優美な紫の花と目が合って
私も真似て背筋をすっと正し
ほほえみ返し。

朗らかな太陽。みなぎる青葉。
山は高らかに笑い
雲はみるみる姿を変える。
一期一会の雲との出会いは
今日も胸をときめかせる。

数日前、立夏の日。

朝、いくつもの大きな雲が空を覆っていました。
その中に、クジラの形の雲を見つけました。
大きくて丸っこい体と開いた口。
口の形は徐々に変化して、まるで歌っているよう。

クジラのあとを追うようにして、ひと回り小さいサメのような形の雲もあり、
ふたつの雲は寄り添うように、同じ方向に向かっていました。

向かう先には雲の切れ間があって、
そこには青空がのぞいていました。

雲の海の中、光に向かって進むクジラ。
私も迷わず進んでいこう。
そんな勇気をもらいました。

クジラの雲に、サメの雲。
イルカはさすがに見つからないかな、
と残念に思っていたら、思い当たりました。

イルカは、夏の星座。
星空で会える日を待っているはずです。

少しずつ夏が近付いている気配。
でも、まだ、大好きな春を楽しみたいと思います。