きみに読む物語

季節は秋から冬に変わろうとしており、クリスマスも近づいてくると、恋愛物語を求めてしまうものなのでしょうか。
24、25日共に出勤の自分は、幸せなクリスマスを過ごせる人が羨ましくて仕方ないです。
前回に続き、今回も愛の物語です。

「きみに読む物語」

病院で老人が年老いた女性に物語を読み聞かせる。
それはとある男女ノアとアリーの恋の物語。

名家の娘アリーは休暇先で地元の青年ノアと出合う。情熱的に惹かれ合う二人だったが、身分に差のある二人の付き合いを母親は猛反対し、二人の仲を引き裂くように休暇を切り上げてしまう。毎日手紙を書く男だったがその手紙が彼女に届くことは無く、やがて二人は互いに別の道を歩み始めた。
時が立ち、アリーは名家の男性と婚約。その結婚式の準備中に新聞でノアの写真を見つけ、居ても立ってもいられず、ノアに会いに行く。最初はギクシャクする二人だが、時間が経つにつれて元の二人の関係性が戻り、2日間幸せな時間を過ごしているところへ、アリーの母親がやって来る。実は彼女もかつて、身分の違う男性と恋に落ちたことがあるが、周囲の反対により、現在の夫と家庭を気付いたのだった。現在の自分は夫を本当に愛しているし、幸せで、その言葉に嘘はないが、母の目からは涙がこぼれている。
母親は、「正しい選択をね」とアリーに伝え、決断はアリーに委ねる。
一度婚約者の元に戻るアリーだったが、翌日彼女は再びノアの元へ行き、ノアと人生を共にすることを決意する。

すると病院の女性が気付く。「それ、私たちだわ」
認知症で過去の記憶が無くなってしまったアリーに、ノアが自分たちの話を読み聞かせて、記憶を取り戻してもらおうとしていたのだ。彼女は少しの間記憶を取り戻し、二人は昔のように愛し合い、共に息を引き取った。


前回の感想でも述べたように、恋愛の物語は恋愛を人生で最も尊いというような描き方をするから好きではないのですが、本作品は、ノアとアリーの老後が絡んだこともあり、愛が最高に燃え上がっているピークだけの物語ではなく、相手が自分への愛情を向けてこなくなっても、その相手を心から愛し続けたという点で、素敵だなと思いました。

「私は、どこにでもいる平凡な思想の平凡な男だ。平凡な人生を歩み、名を残すこともなくじきに忘れ去られる。でも一つだけ、誰にも負けなかったことがある。命がけである人を愛した。私にはそれで十分だ。」
その言葉に偽りは無く、アリーは記憶を失ってしまってからも、ノアにとっての最愛の人でした。

前回、今回と恋愛ストーリーと触れ合って真剣に言語化したことで、恋愛物語に関する自分の好みや、恋愛観がわかりました。僕は、「『好き』が最高に盛り上がっているときにどんな行動を起こすのか」「最高でどれだけ相手のことを好きなのか」よりも、「どれだけ相手のことを大切にし続けられるのか」という部分に感動するし、価値を感じているようです。

僕の中で、どうしても「好き」というのは感情で、いつか好きじゃなくなる時が来るという考えがぬぐえないんです。大好きだった人が、何かをきっかけに好きでもなんでもなくなる経験もしたことがありますし、誰にでも起こる感情だと思うので、「どれだけ『好き』の気持ちが強いかということは、パートナーを選択するうえでそこまで重要ではない」というのが今の自分の考えです。
「盲目的に恋した人と付き合うのが素晴らしいこと」という意見を素直に受け入れられない、認めたくない自分がいてもやもやしていたのですが、今回自分の気持ちを言葉にすることができて、かなりすっきりしました。

反対意見、違った価値観大歓迎です。
おすすめの恋愛物語もあれば、ぜひ教えてください!

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