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ポールには友達がいない ~残念なビートルズ(7)「ポール、『いわずもがな』ばかりを言う?」

前回、ポールがローリング・ストーンズの新作発表パーティで、新曲の「ヘイ・ジュード」を発表してしまった事件をご紹介しましたが、ポールとローリング・ストーンズの逸話はこれだけでは済みません。

時は流れて、2021年。
ポール、口が滑ってしまったのか、問題発言。
「ローリング・ストーンズはブルース・カバーバンド」
「ビートルズの音楽はもっと幅広い」
「僕はストーンズが大好きだけれど、ビートルズのほうが優れていたね」
おいおい、これは洒落にならないでしょう。
しかし、当の本人は涼しい顔。一流のジョークのつもりだったかも。
さすがのミックも、
「一方は幸運なことに今もスタジアムでやっているけど、もう一方は存在していない」
チクリと一言を返します。
冗談めかして言っているけど、カチンと来ているはず。
(ポールはキースに「ブルース・カバーバンドは、文脈を無視して取り上げられた」と事の経緯を説明したらしい、です)
後日、ライブに招待したポールを相手に、ミックは、
「今日はポール・マッカートニーが来ているよ。あとでブルース・カバーバンドに参加してくれるんだ」と語り、会場を沸かせたそうです。

しかし、能天気の天才=ポールと百戦錬磨の不動のキング・オブ・ロック=ミック。
ローリング・ストーンズの最新アルバムでは、なんと2曲でポールがベーシストとして参加しています。
「ポールは“ビートルズのメンバーがローリング・ストーンズのアルバムで演奏できるなんて夢みたいだ”と言っていたよ」
とはロン・ウッドの証言。
ポール自身は、
「僕は彼らのことはずっと知っていたし、彼らのライヴにも行ったことがある、彼らも僕らのライヴに来てくれたことがあったし、ジョンと僕は彼らの曲のバッキング・ヴォーカルをやったこともあった。でも、彼らと同じ部屋で一緒に演奏したことはなかった。だから、すごく気に入ったよ」
おいおい! あの発言はなんだったの?
これだから、ポールのお口は治らないのかなー。
ま、良い作品ができれば、誰も文句なし。

しかし、さすがのポールも、相手を本気で怒らせてしまったことがありました。
相手は、あのフィル・コリンズ。
フィル・コリンズはポール・マッカートニーの大ファン。なのにサインを依頼したときに、
「おお、ヘザー、私たちのリトル・フィルも少しはビートルズのファンだったんだ」
と言われたそうです。
(Oh, Heather, our little Phil's a bit of a Beatles fan.)
フィル・コリンズは、
「なんだよ、このやろう(放送禁止用語)、絶対に忘れないからな」
と感じたと語っています。
「ヘザー」は当時のポールの奥さん、ヘザー・ミルズ。二人が夫婦だったのは2002年から2008年ですから、そのあたりの出来事ですね。
奥さんと一緒で気分が盛り上がっていたのか、悪気はなかったのでしょうが、フィル・コリンズにとっては、ずいぶん高飛車で失礼な態度に映ったんでしょうね。
「little Phil」はいけませんね。ただでさえ身長168cmのフィルに対してポール180cm。
上から目線で子ども扱いとは。
後日ポールはフィル・コリンズが怒っていることを耳にして、お詫びの電話を入れてきたそうですが、フィルからすると、
「『イヤなことは忘れて、前向きに行こうぜ』って感じだったね」
とのことです。
あー、いますね、こういう人。「お前が言うことじゃないだろう」って感じの前向きな言葉で謝罪する人。決して悪気はないんですよね。気にするなよって、相手を温かく励ましているのです。よけいなお世話ですね。
ポールは、おそらくフィル・コリンズからサインを求められて、とてもうれしかったんだと思います。
ちょっと舞い上がってしまって、まだ当時は仲のよかった妻のヘザーに、いいところを見せようとしてlittleなんて言っちゃったんじゃないかしらん、本当に無意識で。
うーん、天然だなー。

悪気はないんですよ、きっと。
許してあげてください。フィル・コリンズ様。


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