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雪景色と家庭医

今朝も起きたら窓の外は雪景色。

子どもたちは少しいつもより嬉しそうに学校へ向かった。外では近所のギムナジウムの生徒たちが雪合戦をしながらふざけている。雪が降ると子どもたちのテンションは不思議と上がる。

大人になってしまった私はそれほどテンションも上がらず、それでもゴミが一時的に隠れて真っ白になった街をきれいだな、と思いつつ家庭医を目指す。大人だからというよりは、寒いのに朝食を抜いているのでテンションが上がらないのだ。このあと、すぐに採血があるので仕方がない。足元でキシキシと新しい雪の音がする。この音がなぜか好きだし、冬はこのくらい寒い方がちょうどいい。うだるような暑さと凍えるような寒さ、どちらかを選べと言われれば、後者を選ぶ方なので日本の真夏の暑さにはめっぽう弱い。

診療所に着いたら、受付には何人か並んでいたがそれほど混んでいるわけでもないのでホッとした。採血だけなので、すぐに終わるかとは思ったが、読みかけの小説はかばんの中に忍ばせてある。それでもやはり30分ほどは待っただろうか。名前を呼ばれたので中に入る。

「結果は明日出るんですが、どうされます?」
「明日は朝一でワクチン接種があるので、その時間帯に診察してもらえるとありがたいんですが」
「そうねぇ。ちょっと難しいのでドクターが休暇から戻ってからになりますがいいですか?」

こんなやり取りのあと、10日後くらいに診察の予約を取った。毎年、日本へ一時帰国する前と新年が明けてから定期検診に行くようにしているのだが、なかなか一度で済まないのがドイツ。今回も血液検査の採血に1日、ワクチン接種がその翌日、検査結果の報告が10日後と割と時間を取られてしまう。フルタイム勤務の頃は仕事の合間に歯科医などに行くようにしていた。そうでないと、いくタイミングが見つからないからだ。

文字通り「体が資本」なので定期的に時間を作って面倒でも検診には行った方がいい。(海外の)フリーランスなんてフリーなだけに全てを自己責任で行う必要があるからだ。健康診断を会社で組織的に行っては当然もらえない。

昔から医者には割と自分から進んでいく方なので、特に抵抗はないが(なんなら医療クリニックでインターンをしていたくらい)海外で勝手がわからないと定期検診を受けにいくだけでもハードルが上がるのが普通だと思う。一度行ってしまえばあとは慣れなので、先延ばしにしないでDoctolibといったオンライン予約のようなツールを利用して足を運んで欲しい。

そういえば、今朝も受付で英語でのやりとりがスムーズにいかず、時間がかかったせいか大きなため息をついて診療所をあとにした人がいた。気持ちはわかるがここはドイツ。通訳のサービスを提供しているところの方が少ないし、みなが英語でコミュニケーションを取れるわけでもない。そこはお互い譲歩して気持ちよく解決してほしいな、と思ったり。あくまでもここはドイツなので、英語で話せないとはけしからん、と怒るのはちょっと違う。

事前に自分の言いたいことを箇条書きでもいいから、メモにして受付に渡せばいいだけの話だ。それ以上に話す必要も出てくるだろうが、ちょっとした事前準備で少しはスムーズに事が進むのではないかと思う。

ワクチン接種の予約は昨年末の話では「電話で連絡しますね!」ということだったが、待てど暮せど連絡がないので、受付で確認したら「あぁ、それだったら明日来てください」と言われてあっという間に終了した。電話連絡という話しは一体なんだったのだろう。こういうこともよくあるので、別になんとも思わなくなった。最初からスムーズなオーガナイズやサービスを期待していないからだ。

予約はとったものの、やっぱり明日の注射嫌だなぁ。



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