見出し画像

少年よ大志を抱け

我が家に滞在中の留学生。17歳とは思えないほど自分の興味対象に対する好奇心や知識の深さが半端なく、どんな話題を振っても面白い答えが返ってくるので毎回話しながら舌を巻いている。

会話ができるかどうかなんて、そういう意味では年齢なんてほとんど関係がないように思える。お互いの興味対象の方向さえ合っていれば、世代間のギャップなんて軽々乗り越えられるのだ。まぁでも正直なところ、彼のような17歳にはこれまでにまだ出会った試しがない。

今日はどういう流れからか、彼の言語学的興味についての話になり、文字の美しさから満州語に興味を持ち、そこからモンゴル語、ゾンカ語、チュヴァシ語を研究するようになった、というエピソードを聞いた。ゾンカ語にチュヴァシ語なんてこれまでに聞いたこともない言語である。

モンゴル語で「今日の天気がよくなるといいですね」というのを横書きのキリル文字と縦書きのモンゴル文字で書いてもらった。キリル文字の方はなんとなく読めるが発音やイントネーションが恐ろしく難しい。聞き慣れない音のパレードである。モンゴル文字はアラビア語を縦に書いたような印象を受けたが、実際にウイグル人から文字を借りたときにアラビア文字と同じように横書きで右から左へと綴っていたものを左に90度回転して縦書きとなったというのだから驚きである。なぜそんなややこしいことをしたのだろう。

モンゴル語が話せて書けるという人なので、ドイツ語はメジャーすぎるというかいつでも学べる言語、という扱いになるようだ。どうりでそれほどドイツ語を頑張って話そうという姿勢が見られないわけだ。どちらかというと、イギリスに7年滞在していた間に行くことのなかったドイツに行けるんだったら交換留学制度を使おう、という感じだったらしい。この辺りが「日本に行けるんだったら交換留学の制度を利用しよう」という娘の感覚と全く同じである。要するに余計な気負いが全くない。

楽器にも興味があるそうで、明日は久しぶりにフィルハーモニーへ行くことになっているが、音楽の話をしても知識が豊富で面白いに違いない。高校3年生だが受験勉強などやりたくないんだろうなぁ、時間がもったいないよな、と思ってしまう。さっさと大学に入って自分のやりたい研究をやる方が合っているように見えるからだ。まさか留学の提携先の学校がこれほどユニークだとは想像していなかった。娘が秋に何を体験してくるのか今から楽しみである。

いつかモンゴルに行って草原を馬で駆け回りたいんですよね。浪人(ノマド)になったら本当に放浪したい。

いや、もうなんでもいいから今すぐモンゴルに行って馬と一緒に暮らして、慣れた頃に草原を駆け回ってください、という気持ちにしかならなかった。少年よ大志を抱け、ってまさにこういうことを指すのではないのか。どちらにせよ、好きなことをとことん研究して、いずれはその道のトップになっていることだろう。




サポートは今後の取材費や本の制作費などに当てさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします!