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私は小学生の国語の教科書ですら、ちゃんと読めていなかった?

突然ですが、あなたは小学生の国語の教科書を読んで、ちゃんと読める自信はありますか?

そんなの当たり前だろ!!バカにするな!!

と思うでしょう。私もそう思っていました。

もちろん、文章を読んで「わからない」ということはないのです。一読した後、私は確かにこの文章は「わかった」と思ったんです。しかし、実は「わかったつもり」になっているだけだったんです。


そろそろ読んだ本を紹介しますね。


西林克彦著『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』


本書を読めば、文章を読んで「わかる」とは何か、「わかる」を阻む「わかったつもり」をどう乗り越えていくかが理解できると思います。


***


文章読解を妨げる「わかったつもり」という状態


筆者は小学生の国語の教科書を使って「わかったつもり」という状態を説明しています。

まず、我々読者に小学生の国語の教科書を読ませます。

小学生が読む平易な文章ですから、一読してわからないところはありません。読み終えた後、最初に筆者から「わからないところはありましたか」と尋ねられます。私はこの時点まで「わからないところはない」と思っていました。

ところが、次に文章を見ないで設問に答えなさいと言われると正確に答えられない(もう一度読み返せば分かる程度の問題ですが)。私は平易な文章だからと大雑把に読んでいるだけで細部まできちんと読んでいなかったのです。

ところが、設問に答える前の最初の質問「わからないところはありましたか」に私は堂々と「わからないところはない」と答えていました。

一読した後、自分ではちゃんと読めていたと思っていても、後から考えると読むのが不十分だったということです。この状態を筆者は「わかったつもり」と表現しています。

この「わかったつもり」の状態が恐ろしいのです。自分では文章が読めていた「わかった」と思っていたのです。

もし、これが「わかっていない」状態だったら自分がそう認識していたら、自分が「わかった」という状態になるまでもっと理解しようと思ったと思うのです。

しかし、自分がこの文章が「わかった」と思ってしまったら、これ以上分かろうとしなくなってしまうのです。実際は「わかったつもり」の状態であるのにもかかわらず。

このままでは、いつまで経っても読解力は進展せず、「わかったつもり」の状態を抜け出すことができません。


「わかったつもり」と言っても読みが不十分だっただけで、もう少し丁寧に読めば解消される問題なのではないかと思いますよね。

ところが、文章を正しく読めていない、漠然とした意味だけを引き出した「間違った読み」をしていても「わかったつもり」の状態は作られてしまうと本書では書かれています。

「間違った読み」は避けたいですよね。

でも、「不十分な読み」と「間違った読み」も「細部が正確に読めていない」という意味では同じことなのです。なぜなら、私たちは一読した後「わかった」と思った時には自分の読みが「不十分」とも「間違っている」とも思わないからです。


結構ややこしいですよね。結局私たちは文章を読んで大きな違和感を感じたりしなければ、細部がきちんと読めていなくても良しとしてしまっていたのかもしれません。だから、時に「不十分な読み」よって、時に「間違った読み」によって細部がきちんと読めていなくて、「わかったつもり」になっているのかもしれません。

大切なことは自分が「わかったつもり」の状態であることを明確に認識しておくことです。


本書では、どういう時に「わかったつもり」に陥りやすいのか、「わかったつもり」の壊し方は何なのかについて詳しく書いてあります。

ぜひ、読んでみてください。



じゃあ、またいつか会いましょう!

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