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20090312 懺悔録

 漫画家の田中圭一$${^{*1}}$$と国文学者の田中貴子$${^{*2}}$$との共著「セクシィ古文!$${^{*3}}$$」と言う本を読んだ。様々な日本古典文学の中の過激な性描写場面の一部を田中圭一の漫画と田中貴子の解説とで紹介している。その中に江戸時代初期にキリスト教布教の為、日本へ来たスペイン人神父コリャード$${^{*4}}$$が執筆し、ローマで1632年に刊行された「懺悔録」という古典の紹介があった。

 原書は当然のことながらローマ字で書かれており$${^{*5}}$$、見開き左頁には日本語、右頁ラテン語対訳と言う構成になっているらしい。当時の日本語の発音をそのままローマ字で表現している。原書はローマ字で書かれているが、歴とした日本の古典である。

 件の著書では国語学者の大塚光信が翻字した漢字かな混じりの文章$${^{*6}}$$を基にした内容が紹介されていた。キリスト教に入信したある男の性に関する罪の告白である。その告白内容がむちゃくちゃ愉快なのだ。

 『自分は妻を持ちながら愛人を設けてしまった。その愛人にも夫がいる。十分な時間がない時には、身体を触り、接吻をし、性器をまさぐり思いのままにした。また大抵は普通のやり方だったが、無理強いして二、三度、肛門を使ったこともあった。そしてこれらの情事を思い出しながら自慰にふけることも度々あった。その回数は前の懺悔以降、七、八十回である』

 と言った調子である。これは面白いので全文が読みたくなった。早速、探してみると古本があった。文庫本で上中下巻の三巻もある。これは読み出があるわい、とほくそ笑みながら通信販売$${^{*7}}$$で注文した。

 本が届いた。早速、件の記述を見つけようとしたが、なかなか見つからない。ふとこの本の著者を見ると「ルソオ」と書いてある。ジャン・ジャック・ルソー$${^{*8}}$$ではないか。買う本を間違えた。注文したのはルソーの「懺悔録」$${^{*9}}$$だったのだ。何と間抜けなことか。がっくり来たが、気を取り直して再度検索し、コリャードの懺悔録を注文した。これも古本である。ルソーの方は戒めとして返品せず蔵書とした。

 再注文して届いた本は170頁程度で、その内、上記の様な性の告白は全部で10頁程度だった。注釈は付いているが、全文現代語訳ではないので、細かい部分がところどころ判らない。まぁ、雰囲気だけで良しとしよう。

*1 20030606 バロン吉元
*2 松岡正剛の千夜千冊『聖なる女』田中貴子
*3 商品詳細|株式会社メディアファクトリー セクシィ古文! (ナレッジエンタ読本8)
*4 Grammar of the Japanese Language.
*5 『日本懺悔録』
*6 コリャード 懺悔録
*7 雑記草商店 - 書籍
*8 ジャンジャック・ルソー
*9 太宰治 思案の敗北

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