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【ラ・ラ・ランド】何回でも観たい映画

デミアン・チャゼル監督の最新作「バビロン」の公開記念で、2月3日から1週間限定で「ラ・ラ・ランド」と「セッション」が全国の劇場で再上映されていた。「全国で再上映」って盛大に謳われていたけど、蓋開けてみたらセッションなんて東京と大阪と愛知でしかやってなくて、全国とは…?って感じだったけど。

初めて鑑賞した時に、映画館で見たかったなあと強く思った「セッション」を狙って国試が終わって慌てて帰省したのだけど、間に合わなかったので「ラ・ラ・ランド」を見に行った。もうめちゃくちゃ好き。観るのは3回目だったけど、没入感を持って映画に集中できるのは、やっぱり映画館ならではの体験だなって思った。

この映画を観てない人に勧める感想文

原色のドレス、小物や背景の配色で演出される、古き良きハリウッドの煌びやかな世界観。序盤は本当に魅力的なショットの連発だった。
色使いと音楽のリズムで、何かが始まる「予感」を“体験させられている”感じがして、ものすごくワクワクした。
予感の黄色、情熱の赤、孤独に夢を追う青、恋心の紫、思案の緑。
ミアは何色の自分を選んだのだろう。

これは夢を追う男女二人の物語。
「世間の評価なんてクソ喰らえだ。」「情熱があれば、心動かされる人は現れる。」
それを綺麗事でななく、事実にできるだろうか?
支え合って夢を追う二人の高揚をメロディーと色彩が生き生きと伝える。

夢に一途であればこそ、何もかもがハッピーエンドにはなり得ない。
途方もなく現実から遠い夢が、彼らを幾度くじけさせ、切ない別れを強いようと、
煌びやかな世界よどうか、“夢追い人に乾杯を”

印象的だったシーン(以下ネタバレあり)

二人の間に流れていた音楽が初めて止まるシーン

自分の目指していたジャズとは異なる形のバンドで売れ、後戻りができないセブをミアが咎めるシーン。セブはミアとの将来を真剣に考えているからこそ、売れることを優先した。ミアにも「ついて来ないか?女優の稽古なんてどこでもできるだろう?」と言ってしまう。ミアに「あなたの夢はジャズの店を開くことじゃないの?」と言われ、図星のセブはミアの目を見れない。自分の夢を諦めて売れることを優先したセブに「大人になれよ」と言われ、ミアは自分の夢を否定されたように感じる。「花束みたいな恋をした」を見た時も同じ感情になったけど、こういう男女のすれ違いって本当に見てて辛い。薄緑のカーテンを背景に、二人の間を流れていた音楽が止まったのが印象的だった。

ラストシーンの走馬灯(?)あったかもしれないもう一つの未来

ずっとカラフルなドレスを着ていたミアは、5年後の最後のシーンに初めて黒のドレスを着ていた。その黒が表すのは、ミアが落ち着いた大人になったということなのか、ときめきを失ったということなのか、全ての夢を手に入れた(全ての色を混ぜると黒になるから)ということなのか、わからないけど、ミアと手を組んで歩いていた男はセブではなかった。
旦那と一緒に偶然入ったジャズの店に掲げられていたのは、付き合っていた頃自分がデザインした「セブズ」の看板。セブは夢をかなえ、自分のジャズの店を持っていた。
セブが演奏するピアノのメロディーと共に、二人が別れなかったかもしれない未来が映像として駆け巡る。その映像で二人は本当に幸せそうで楽しそうで、そうであればあるほど、現実が切ない。こんな明るくポップな映像で泣かされることある?
でもその走馬灯(?)では二人は一緒になれたけど、セブの夢は叶わなかった。
彼女たちの選択は二人に別れを強いたけど、夢を叶えた。
二人は目を合わせて頷き、また各々の道をゆく。
これが「ラ・ラ・ランド」の強烈なハッピーエンド。

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