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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【6月22日㈬~6月28日㈫】

6月17日から公開になった映画『三姉妹』は、おかげさまで多くのお客様にご来場頂き、2週目に突入しました。先週末からは大阪京都での上映が始まり、7月1日からは仙台、2日からは那覇での上映もスタートします。お近くにお住まいの方、ぜひお出かけください!

今週は引き続き関連イベントウィーク。22日㈬は、新宿武蔵野館での最終回上映後、俳優の渡辺真起子さん、大島葉子さん、中村優子さんをお招きしてトークショーが開催されました。

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渡辺真起子さんはザジの配給作品の試写に過去に何度かご来場くださっており、以前から気にかけて頂いていました。2年前、コロナ禍を乗り越えるための支援活動MINI THEATER PARKを、渡辺さんが俳優仲間の井浦新さん、斉藤工さんと始めた際にも、「映画館だけじゃなく、配給会社と一緒に出来ることがあれば…」とお声がけくださって、岩波ホールでのアニエス・ヴァルダ特集の折、男優(井浦さん、斉藤さん)が語るヴァルダ、女優(渡辺さん、安藤玉恵さん、小泉今日子さん)が語るヴァルダ、という2週連続のオンライン・トークイベントの企画も推し進めてくださいました。

渡辺さんが『三姉妹』と出会ったのは昨年春。香港で毎年3月に開催されているアジアン・フィルム・アワードの、助演女優賞部門の審査員としてオンラインで英語字幕付きバージョンで、初めてご覧になったのだそうです(ノミネートされていたのは、三女ミオク役のチャン・ヨンジュさん)。

最優秀助演女優賞は、『朝が来る』の蒔田彩珠さんに渡りましたが、渡辺さんは『三姉妹』に大きなインパクトを受けて、当時ツイッターに「凄い映画を観た!日本で誰か買わないかしら?」というような主旨のツイートをされました。同じ頃、大阪アジアン映画祭で観て買付けを決め、契約を終えていた私は、そのツイートを読み、思わず「うちが買ってますよ!」とDMを送ったのでした。

それからは渡辺さんにはお世話になりっぱなし。ご友人や同業者の方々に「観るべき映画!」と薦めまくってくださったおかげで、ある時は「明日の試写に伺いたいのですが」とご友人の雑誌編集者の方からご連絡頂いたり、またある時は某俳優のマネージャーから「渡辺さんに薦められて、うちの〇〇が観たい、と言っているのでリンクをもらえませんか?」と電話があったり。今回のトークにご登壇くださった大島さん、中村さんも、仲の良い渡辺さんからお薦めされてプレス試写にご来場くださり、作品に感銘を受けてくださった方々です。

…というワケで、この日のトークショーは渡辺さんのザジ臨時宣伝部員・『三姉妹』担当^_^としての集大成でした。イベントの内容は、これまた渡辺さんが自らお声がけくださった映画ナタリーさんが独占取材してくださったので、こちらから読むことが出来ます!

そして、企画した3大イベントの掉尾を飾るのは、イ・スンウォン監督オンライン登壇によるQ&A。同じく新宿武蔵野館で6月25日の初回の上映後に行われました。感染症対策のために観客の皆さんからは、ネットを通じて質問を受け付け、弊社スタッフが代読して監督に質問する方式を取らして頂いたのですが、スンウォン監督は一つ一つの質問に真摯に、丁寧に答えてくださり、作品への理解を深めるのにとても有意義なイベントとなりました。当日の様子は、こちらから!

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ムン・ソリさんが、今回受けてくださったインタビューの中で、エピソードを披露していましたが、韓国では映画のクランプアップ時、水辺に近い撮影現場の場合、スタッフが監督を担いで水の中に投げこむのが習わしなんだそうです。監督は、こちらの写真でもお判りの通り、とても大きな方。130キロはあるそうで、スタッフには持ち上げられないので、監督自ら海に飛び込んだそうです。お人柄がしのばれますよね(昨日個人的に観に行った『イントロダクション』のラストは海辺。撮影順序は分かりませんが、あれがクランクアップのシーンだったとしたら、ホン・サンス監督は海に投げ込まれたのでしょうか?気になります)。

ところで。トップに貼った見慣れない『三姉妹』タイトルロゴと、色味…。加えて「…と思う女たち」というキャッチコピーの一部。実はこれはポスタービジュアルのデザインを担当してくださったグラフィック・デザイナーさんと話し合いながら作り込んでいったビジュアルの、当初のデザインの一部。キャッチコピーも「人として、どうかと思う女たち」という当初の案を仮で入れたものです。

何故いわゆるボツバージョンを貼ったのかというと、『三姉妹』をご覧になった方々の感想をSNSでサーチしていると、日本版ビジュアルの色味に異を唱えている方が少なからずいらっしゃったので、あのデザインに行きついた経緯を書いておこうかな、と思い立ったから。

今回、本国から送られてきた宣材写真の中で目を引いたのが、病院の待合での3人のショット。3人の“まなざし”が、一筋縄では行かないファミリードラマであることを予見させてくれていると思い、これをメインで使おう!と決めました。が、この写真を背景も含めてそのまま使うと、3人の姿が浮き立たない。なので、3人を切り抜いて、地に色を引くようにお願いしました。その地の色の第一候補が、トップに貼った白だったのです。が、しかし!(あくまでも個人的感想ですが)白にすると、予期せぬホラー風味が出てきてしまいました。例えて言うなら『SAW』シリーズのような雰囲気(『三姉妹』を「ある意味、ホラー」とおっしゃる方も、確かにいらっしゃるのですが…笑)。

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他にもいろいろな色を試してもらいました。映画館にたくさんの種類のチラシが並んだ時に、埋もれてしまう色味では困るので、明るめな色調がいいのかな、ということになりました。例えばこちらに貼ったクリーム色も案の一つだったのですが、ちょっと大人し過ぎるかなぁと思い(これも個人的感想ですが)ボツ。そして最終的に行きついた色味が今回の色だったのです。

韓国作品を配給するにあたって、もう少しリサーチすべきだったのかもしれませんが、“ダサピンク問題”という言葉を今回初めて知りました。本国ではシックなデザインや、シリアスな内容を思い起こさせるデザインが、日本版になると途端に背景をピンクにして、キラキラな加工をしつつ、若い男女を配置したラブコメ風になってしまう、というご意見。しかし、『三姉妹』の場合は言い訳のようになりますが、ラブコメディに寄せる、というような考えは一切なく、単に一番しっくり来たのがデザイナーさんが提案してきた、このピンクというよりはヴァイオレットに近いピンクだったのです。

が、しかし、ピンクはピンク。全方位の方に受け入れられるデザイン、というのは存在しないので、こんな裏話を書いてもしょうがないんですが、「デザインしてる人は、映画自体を観てデザインしているのか?」という主旨のツイートがあったので、ひとこと言わずにはいられないのでした(勝気)。ちなみにデザイナーさんは、昨年末の字幕初号試写でご覧になり号泣。気持ちを込めてデザイン作業を進めてくださいました。

で、困っているのは、来年のザジの勝負作とも言える新作の配給作のこと。韓国映画ではありませんが、本国のオリジナルのビジュアルが、正真正銘のピンクピンクしたピンク。さて、どうしましょう…。

texte de Daisuke SHIMURA






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