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  • トリスタン文書 〜バスケットボールの定理を求めて〜

    『バスケットボールの定理』第7部へと通じる「第七の門」をくぐるための合言葉<パスワード>を探す騎士・トリスタンと”彼”のドッペルゲンガー・メフィストとの対話。三部作。

  • バスケットボールの定理

    恩塚亨・鈴木良和・日髙哲朗、三人のバスケットボールコーチの過去の仕事を追い、日本バスケの未来を想像する。

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フル・ストーリー・メタル・ジャケット 【note 掲載原稿完全ガイド】

イントロダクション 2022年9月、note に初めて投稿された「その夢は誰のものか?」から、その後ほぼ週に一本のペースで連載され、現在長期の連載中断が続いている「バスケットボールの定理」、その連載中断と同時に始まった新シリーズ「トリスタン文書」、さらに人気キャラクターアンケートの結果を受けてシリーズ化が検討されている「イ・ゾルデの断想」まで、当アカウントにて公開中の全原稿と今後公開予定の原稿の一部を紹介します。 その夢は誰のものか? 〜バスケットボール女子日本代表へのエ

    • 身長なんてただの数字にすぎない

      何回か前の原稿に、FIBAワールドカップ2023をネタにして書くのはこれで最後にすると書いたけれど、あれからしばらくたっても、W杯のことが頭から離れない。というか、気づくと河村勇輝について考えてしまっている。 「あの22歳のポイントガードは一体何者だ?」と世界に衝撃を与えたW杯の興奮もさめやらぬうちに、Bリーグが開幕するや、河村は3試合連続30得点越えなんていうNBA選手みたいなことまでやってのけるんだから、彼のことを考えるなというほうが無理な話だ。 でも、正直に言うと、

      • バスケットボール殿堂の建設を願って(2023)

        次はバスケットボールのアメリカ代表について書くと予告してから早数ヶ月……。 なのに、過去4回連続で日本代表について書いてしまっているのは、FIBAワールドカップ2023がめちゃくちゃ盛り上がったからで、その余韻が冷めないうちに、日本代表について書いておきたくなったからだ。 私に何ができるわけでもないけれど、このW杯の遺産を未来に残すために。 それで前回は、バスケットボール日本代表のユニフォームについて書いた。 それは、日本代表が、選手たちの誰もがそこを目指したいと思える価

        • 赤と黒をまとう者たち

          1 赤と黒のユニフォームといえば、どのチームを思い浮かべるだろうか? サッカーファンならばセリエAの名門ACミランを、バスケファンであれば『スラムダンク』の湘北高校、あるいはそのモデルになったとされるNBAシカゴ・ブルズのユニフォームを思い浮かべる人が多いかもしれない。 ブルズのチームカラーである赤と黒はシカゴ市の伝統を象徴していると説明されることもあるが、それがチームカラーになった理由は、ブルズの創設者ディック・クラインの出身高校の色が赤と黒だったからだと言われている。

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        フル・ストーリー・メタル・ジャケット 【note 掲載原稿完全ガイド】

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        • トリスタン文書 〜バスケットボールの定理を求めて〜
          5本
        • バスケットボールの定理
          6本

        記事

          アカツキジャパンのレガシー

          どうもこのところ、ここはその時々に自分が感じたことや考えたことを書きとめておく場所になってしまっていて、いい加減、このnoteの本分に戻るべきだろうと思うのだけど、直近に書いた『2023年の比江島タイム』と『幸福なファンのために』、この2本の原稿に対する補足を書いておきたくなって、またこのあいだのFIBAワールドカップについて書こうと思う。(W杯をネタにして書くのはこれで最後にします。) でもその前に……。ここの読者には大学バスケファンも多くいると思うので、昨シーズンの全

          アカツキジャパンのレガシー

          【note 開設1周年記念】 幸福なファンのために

          はじめにnote デビューしてから1年がたちました。 『トリスタン文書』では記念日の重要性について書いていますし、なにか1周年記念の原稿を出すべきだろうと思うので、昔書いた未公開原稿をこの機会に公開することにします。 それは、なぜ『バスケットボールの定理』を書きはじめたのかという理由について書いた文章で、『定理』が完結したら、その「あとがき」みたいなものとして公開しようと思い、昨年10月に書いて下書き保存していたのですが『定理』がなかなか完結しないのと、『定理』を書くに至

          【note 開設1周年記念】 幸福なファンのために

          2023年の比江島タイム

          第1部 ヴィノティントの挑戦 1 フィリピン、日本、インドネシアの3カ国で共催されたFIBAワールドカップ2023は、国際的なバスケットボール人気の高まりを再認識させる大会となった。すでに昨年オーストラリアで開催されたFIBA女子ワールドカップが史上最多となる約15万人の観客を動員する大成功を収めていたが、今回のW杯開幕戦でフィリピンアリーナに詰めかけた38,115人という観客数も屋内アリーナ入場者数のW杯史上最多記録を更新し、世界中でバスケットボールの存在感が増している

          2023年の比江島タイム

          Wリーグ25周年記念チーム 【非公式】

          Wリーグ25周年記念チーム 【非公式】

          未知数W、あるいは大神雄子の選択

          スポナビに原稿が載って驚いた話 このところずっと、次こそはリディームチームの話を書くと予告しておきながら、毎回別の原稿を書いては、続いてその原稿を書いた理由(リディームチームの話を書かなかった言い訳)を書くというのがルーティーン化しているわけだが、今回もまた、なぜ前回「25人の偉大なW」を書いたのか、その理由について書こうと思う。 その前に、ちょっと驚いた話から。というのは、「25人の偉大なW 〜Wリーグ編〜」がスポーツナビに転載されていたことで、自分のような素人が書いた

          未知数W、あるいは大神雄子の選択

          25人の偉大なW 〜Wリーグ編〜

          「25人の偉大なW 〜Wリーグ編〜」をお送りする。 これは 2023-24 シーズンのWリーグ25周年を記念して、私が勝手に独断で選出したWリーグ史上最も偉大な選手25人のリストである。 リーグ創設から25年の間にWリーグでプレーした選手の数は1,000人を超える。その中からわずか25人を選ぶというのは非常に困難な作業だが、とりあえず私は各選手がリーグに残した記録(スタッツや受賞歴)を頼りに、この作業を進めることにした。ただのいちファンにすぎない素人の私が、選手の偉大さを測

          25人の偉大なW 〜Wリーグ編〜

          25人の偉大なW 〜WNBA編〜

          2021年10月、NBA75周年記念チームのメンバー76名が発表された。 NBAの創設75周年を祝うため、現役および元NBA選手、コーチ、GM、チームおよびリーグの幹部、WNBAのレジェンド、メディア関係者らの投票によって選ばれたリーグ史上最も偉大な選手のリストは、当初は75名の予定だったが、75位で2名が同点で並んだため、最終的に76名となった。 私たちに馴染みのある名前でいうと、ラリー・バード、コービー・ブライアント、ステフィン・カリー、アレン・アイバーソン、ピート・

          25人の偉大なW 〜WNBA編〜

          月はなぜ欠けるのか?

          1 前回書いた「ローレン・ジャクソンの選択」の執筆動機について書く。 どうしてあの原稿を書こうと思ったのか? でもその前に、あの原稿を書いていて強く思ったことがあって、それはバスケットボール女子日本代表にも、2011年に流行語大賞を受賞した「なでしこジャパン」みたいなキャッチーな愛称が必要なんじゃないかってこと。 バスケ女子日本代表の愛称というと、メディアでは「AKATSUKI JAPAN 女子日本代表」と書くのが慣例みたいだけど、でもそれだったら、普通に「バスケットボー

          月はなぜ欠けるのか?

          ローレン・ジャクソンの選択

          FIBA女子アジアカップ2023について書きます。 というのも、リム・トゥ・リム・エキシビション・ゲームをきっかけにナタリー・アチョンワについて書き、Bリーグアワードショーをきっかけに渡嘉敷来夢選手について書いたように、FIBA女子アジアカップをきっかけにして、ある選手について書きたくなってしまったからです。 その選手はオリンピックやワールドカップの舞台でアチョンワや渡嘉敷選手ともマッチアップしたオパールズ(バスケットボール女子オーストラリア代表の愛称)のセンターであり、オ

          ローレン・ジャクソンの選択

          バスケットボールの価値を高める 〜カナダの戦略〜

          1 今回は最近書いた原稿について、どうしてそれらの原稿を書こうと思ったのかという執筆の動機をざっくばらんに書いてみようと思います。 まず、「バスケットボールへの狂おしい愛 〜ラブ・レター・フロム・カナダ〜」を書いた動機について。 カナダのバスケットボール事情に関してはほとんど何も知らなかったのですが、リム・トゥ・リム・エキシビション・ゲームのカナダ戦をきっかけに興味を持って、カナダバスケットボール協会のホームページを覗いてみたところ、「マッド・ラブ」キャンペーンにとても

          バスケットボールの価値を高める 〜カナダの戦略〜

          渡嘉敷来夢はここで終わりじゃない

          日本バスケット界のニュー・スター2023年6月、東京都千代田区 Bリーグの各タイトルが発表・表彰されるBリーグアワードショー。今年、その祭典の中心にいたのは個人賞6冠を獲得した若干22歳のルーキー、河村勇輝だった……。 誰かとの出会いによって人生が変わることがある。 河村がバスケットボール男子日本代表のヘッドコーチ、トム・ホーバスとの出会いによって変わったことは確かだろう。オフェンス時にどうしてもパスファーストになってしまう河村に、ホーバスはしつこくシュートを狙えと言い続け

          渡嘉敷来夢はここで終わりじゃない

          バスケットボールへの狂おしい愛 〜ラブ・レター・フロム・カナダ〜

          コートに書かれたメッセージ2023年6月、ブリティッシュコロンビア州ビクトリア バスケットボール女子日本代表は、およそ一ヶ月後に迫ったFIBA女子アジアカップへ向けたチーム強化のためカナダ遠征を実施した。そしてカナダ代表とのエキシビションゲームが組まれたが、試合が行われたセーブ・オン・フーズ記念センターのコートには、カナダバスケットボール協会のロゴ、取材に入っているファイスティ・メディア社のロゴと並んで、奇妙な言葉がペイントされていた。 「MAD LOVE」 バスケットボ

          バスケットボールへの狂おしい愛 〜ラブ・レター・フロム・カナダ〜